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G1で1番人気が15連敗中…。今年は人気馬が勝てない3つの理由

波乱の要因はあのトップジョッキー

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今年はG1で1番人気馬への騎乗がここまでで1回だけ。ルメール騎手の不振がG1で波乱が続く一つの要因だろう

 もう1つの要因として考えられるのが、ルメール騎手の不振です。2020年には1番人気でG1を8勝と圧倒的な存在感を見せ、昨年もクロノジェネシスやグランアレグリアで4勝と随所に勝負強さを見せていました。  しかし、今年は1番人気馬ではG1未勝利となっているだけでなく、そもそもG1で1番人気の支持を集めたのも先日の秋華賞が初めてでした。年明けからなかなか重賞を勝てずにもがいていた同騎手ですが、近年の圧倒的な勢いには陰りが見える現状で、ファンからも以前ほどの信頼を得られなくなっているのかもしれません。  一方で、もっとも多くG1で1番人気馬に騎乗したのは、横山武史騎手。昨年エフフォーリアとのコンビで大ブレイクを果たした同騎手ですが、そのエフフォーリアが今年になってからは不振で、大阪杯と宝塚記念の2度に渡り1番人気を裏切っています。その他にも、高松宮記念のレシステンシア、桜花賞のナミュールでも着外と、4レースで一度も掲示板にすら載れていません。  スターホース不在だけでなく、信頼を置けるジョッキーの不在も、波乱の一因と言えるかもしれません。

競馬場に観客が戻って来たことが波乱の要因?

 もう1つ、1番人気馬不振の要因として考えられるのは、無観客競馬の終焉です。1番人気馬が最多の16勝を挙げた2020年はコロナ禍の真っただ中。フェブラリーSの翌週から無観客となり、年末までほとんどのG1が無観客、あるいはかなりの人数制限の中での開催でした。  ところが、徐々に落ち着きを取り戻した2022年は、競馬場に歓声が戻ってきました。オークスではスタンド前発走でサウンドビバーチェが放馬、長時間待たされた影響もあったのか、1番人気のサークルオブライフは出遅れてほぼレースに参加できず12着に敗れるということがありました。  騎乗していたデムーロ騎手は「ゲート内でイライラして出遅れてしまった」と語っており、管理する国枝調教師も、「ゲートの後ろで待たされて気持ちが高ぶってしまい、競馬の前にピークアウトしてしまった」と、メンタルを敗因に挙げていました。無観客競馬のときよりも、精神面の維持が難しくなっている印象です。  コントレイルやアーモンドアイのような圧倒的な信頼度を誇るスターホースが不在、さらにルメール騎手の独占状態が崩れつつあり、それに代わる圧倒的な存在感を持つ騎手も出て来ていない。加えて競馬場に歓声が戻ってきたことで、近年と比べると不確定要素が増えているといえます。  そう考えると、波乱のG1戦線はまだ続く可能性が高いでしょう。これから年末までまだ多くのビッグレースが行われますが、今年は人気馬に惑わされずに、攻める気持ちが大事になりそうです。 文/TARO
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