仕事

「会社をすぐ辞める20代」に共通する、キャリア志向よりも強い“お客様感覚”

若者は効率的かつ即効性の高いものを求める傾向に

金間大介氏

『先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち』(東洋経済新報社)の著者であり、金沢大学融合研究域融合科学系教授の金間大介氏

 どうやら最近の若者は効率を求める心理が顕著らしく、「ネットには『〇〇を身につけて転職に成功!』といった情報は多いです。こういった情報を鵜呑みにして、『この資格を取れば、できる仕事が増える、給与アップや労働環境の改善につながる』と考える学生は一定数存在します。とはいえ、すぐに給与アップにつながるような資格は難易度が高く、ほんの一部にすぎないのですが……」と話した。コスパやタイパへの意識が高すぎるあまり、効率的かつ即効性の高いものを求める傾向があるようだ。

“会社は自分を成長させてくれるもの”という価値観が蔓延

 また、若者の特徴的な価値観として、「今の若者は『スキル向上の機会は会社や上司が用意すべきもの』と捉え、それらを用意せずにこき使う職場を“ブラック”、逆に仕事量が少なく、新たに身に付く機会を与えない職場を“ゆるブラック”と評します」と説明。どこかお客様感覚の強さを感じるが、その背景として「大学が影響している可能性が考えられます」と話す。 「昨今、シラバス(学期が始まる前に学生に公開する講義概要)には、『この講義で身に付くこと』『この演習で得られるスキルなど』といった項目が加わるようになってきました。現職の大学教員が言うことではありませんが、たかが1単位や2単位の講義で得られるものなど知れています。  にもかかわらず、そういったことを学生に提示することが、大学としての職務と考えるようになりました。そのこと自体を『悪いこと』と捉える人は少ないと思います。しかし、結果的には『学生は大学や会社などのシステム側は自分に何を与えてくれるか』という視点を強くしているのではないでしょうか」  効率良くスキルが獲得できないこと、上司や会社が成長の機会を与えないことなどに対する焦燥感から、ホワイトな職場を去ってしまうのだろう。
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上司や先輩の正しい接し方とは
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