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「おじさん構文」を成立させる8つの必須要素。あの“ねっとり感”はAIで再現できるのか

そして、おじさん構文をAIに書かせようと決意するまで

「ウケる。もっとおじさんっぽいメッセージかと思った」  こいつ無礼すぎだろ。 「わたしのまわりのおじさん、みんなおじさんっぽいメッセージですよ」  どうやら彼女のまわりには「おっさん構文」の使い手ばかりがウヨウヨといるようでそれが普通だと考えているみたいだった。 「そんなかしこまってないで、もっと仲良くして欲しいな……」  どうにも信じがたいことなのだけど、彼女の周りにいる「おじさん構文」の使い手たちによって彼女の感覚では「おじさん構文=親しみを持っている」という図式が出来上がっているようで、おじさんなのに「おじさん構文」を使ってこない僕を、心を開いていないやつと感じているのだ。  そんなことはない。けっこう心を開いている。それを伝えるにはどうしたらいいんだ。そう、彼女を「おじさん構文」でラーメン屋に誘うしかない。ただ、僕は「おじさん構文」の使い手ではない。どうすれば。どうすれば。 「AIに書かせよう!」  最近になって急速に発展してきたチャット型のAI、こいつに「おっさん構文」を覚え込ませてラーメン屋に誘う文章を書いてもらえばいいのだ。ということで早速、書いてもらった。

そしてAIが書いてきたおっさん構文は……

「お世話になっております。  突然ですが、最近はラーメンが美味しい季節ですね。私も、これまで多くのラーメン店に足を運んできました。その中でも、あなたにぜひ紹介したいお店があります。女性に人気のある味噌ラーメンが自慢で、店内の雰囲気も居心地が良いですよ。  私自身、ある有名企業で働いた経験があり、そこで素晴らしい仲間と共に仕事をしてきました。その中には、凄い人もいたんです。彼らと一緒にいると、自分も少しは影響を受けた気がします。  なんだか話がそれましたが、そんな素晴らしい人たちと一緒に仕事をしてきた私が、あなたをラーメン屋に誘います。日程の方は、下記に候補を挙げておきました。都合の良い日を教えていただければ幸いです。お会いできるのを楽しみにしております。」  うーん、悪くはないんだけど、まだちょっとおっさん味が足りないよね。くだけた感じがしない。「そんな素晴らしい人たちと一緒に仕事をしてきた私が、あなたをラーメン屋に誘います」あたりのディスコミュニケーション具合はかなり良いだけに残念だ。もうちょっと具体的な指示を入れておっさん味をだす。具体的には「もっと顔文字を多用して」とお願いしてみた。 image005 顔文字入れさせたら急に文章まで砕けてきたな。patoの間に入るビックリマークの意味が分からないけど悪くはない。ただ、「突如の現状報告」が足りない気がする。その辺を入れるように指示してみる。  急に「おじさんのpatoと申します」と現状報告してきた。そういうことじゃないだろ。まあ、これに「突如始まる謎の説教」と「突如始まるホテル自慢」を入れるように指示してみる。
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悪くはないが粘着性が足りない
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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