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「おじさん構文」を成立させる8つの必須要素。あの“ねっとり感”はAIで再現できるのか

おじさんだからこそ駆使できるおじさん構文

 さて、この「おじさん構文」なのだけど、実はこれ、おじさんがおじさんに送ることがほとんどない代物だ。この点が実に興味深い。それこそ素の状態でこれを送るおっさんなど存在せず、あわよくばと狙っている若い女性に送るときにこの構文が爆誕するのだ。  そう言った意味ではこれは「おじさん構文」というよりは「おじさんがちょっと狙っている若い女の子に送る構文」と表現するのが正しいし、そんな場面で登場するということは、おっさんのなかでこの構文は狙っている女性に対して有効なコミュニケーション手段として確立されている可能性が高い。そこに大きな問題がある。  このように、時には揶揄される存在である「おじさん構文」なのだけど、多くの人が勘違いしていることがある。 「おじさんだからおじさん構文を使えるんでしょ?」  そりゃそうだ。そう思うのも自然である。実はこれは大きな誤りである。日本はあちこちにサムライがいて忍者とかが跋扈しているという誤解に近い。おじさんとして生きているんだから「おじさん構文」使えるよね、とはならないのだ。  実際に「おじさん構文」を使えるおっさんはそう多くない。上記のようなディスコミュニケーションをコミュニケーションと誤解していることが前提となるので、使い手はそう多くない。選ばれし存在なのだ。世の中はまだまだ捨てたものじゃないのだ。ちゃんとコミュニケーションが取れるおじさんが多いのである。

僕は自衛のためにおじさん構文は一切使わない

 ちなみに、僕はこの「おじさん構文」というものを全くもって使うことができない。特に女性とメッセージのやり取りをする際は細心の注意をもってやり取りをしているので、本当にこの「おじさん構文」が使えないのである。  僕は女性とコミュニケーションをとるときはビジネス文書レベルのやり取りで良いと考えているし、実際にそのレベルでやり取りしている。実はこれが「自分が愚かにならないための最良の自衛手段」なのだ。だから僕は「おじさん構文」が全く使えない。  おじさん構文が使えないおじさん。  これは特に困る場面には遭遇しないし、世間的も「いいじゃん」と好意的に捉えられると考えていた。けれどもそれは大きな誤解だった。おじさんなのに「おじさん構文」を使えない、それによって苦しめられるケースが生じてきたのだった。  ひょんなことから、若い女性と知り合った。その子はラーメンなどを食べ歩きしていてそれがライター活動に繋がっているという若手ライターだった。それならばと僕の知っているややマニアックなラーメン屋を教えたところ、じゃあ、こんど一緒に行きましょうよと連絡先を交換することになったのだ。 「お世話になっております。patoです。先日のラーメン屋の件ですが下記に日程の候補を3つほど挙げておきますので都合の良い日を指定いただけたらと思います。現在、原稿が立て込んでおりましてなかなか時間が取れず、このような形になって申し訳ありません。お会いできる日を楽しみにしております。よろしくお願いいたします」  約束通り、ラーメン屋に行くためにこのようなLINEメッセージを作成した。僕はあまり親しくない女性にはこのレベルで文章を送る。これを送るとすぐに返事が戻ってきた。
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そして、おじさん構文をAIに書かせようと決意するまで
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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