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日本人の足、実は小さい「意外な部位」。靴選びを間違う根本的な理由

こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。

残念ながら売れる「日本人のためにつくった靴」

靴擦れ

写真はイメージです

靴屋に行くと、いまだに「日本人は外国人と比べて幅が広くて甲が高い」と言われることがあります。筆者は2011年にシューフィッターになって以来、老若男女、外国人を含めて約1万人くらいの足を触ってきましたが、日本人だからといって、足幅がみんな広いという事実はありません。 むしろ個人差や、家系の遺伝による影響のほうが大きいと思います。逆に、足の幅が狭くて合う靴が見つからずに困っている人たちがたくさんいます。 似た話で、靴屋には「日本人のためにつくった靴」と銘打ったものがあります。そもそも日本人というくくりが大すぎます。そんな靴を買っても「なんか合わなかった」という話はよく聞くので、この手の被害者は一定数いらっしゃると思います。 実は、これらの靴は単に無思考に幅が広くつくられたものや、横に変なファスナーがついているだけのものだったりします。これでは、そもそもフィットするはずがないのです。 でも残念ながら、売れる。その理由は、販売員の立場からすると「きつい靴はクレームになっても、ゆるい靴は文句言われない」から。店で試着したときはちょうどよくても、実際に履いて歩いているうちに足も体も疲れてしまったという経験は誰しもあるはずです。 それは、靴がゆるすぎるんです。ならきつい靴のほうがいいのか?というわけでもないのが、靴の難しいところ。そこで靴選びのコツをご紹介しましょう。

日本人は「カカト」が小さい

はい結論です。これは個人差を越えてほぼ、日本人に共通しています。年代も関係ありません。どんなに幅の広い足でもせまくて華奢な足でも外国人と比べて、日本人はあきらかにカカトが小さい。 同じアジアでも大陸の方と比べると、海ひとつ隔てただけで如実に差が現れます。もちろん欧米人と比べても大きな差があります。欧米人も日本人もハイブリッドが進んでいるので将来的にはわかりませんが、今のところ日本人のカカトが大きくなる気配はありません。 多分に遺伝の影響でしょう。日本人が普通に靴を履くようになったのは昭和になってからなので、わずか100年程度です。2000年前の弥生時代から明治まで、日本人は庶民から天皇まで草鞋を履いていたのです。 数千年 vs 100年。 遺伝子に勝てるわけありませんよね。ワラジと靴とでは歩き方がまるっきり異なります。ワラジで歩くときには、ほとんどカカトを使いません。足が接地した次の瞬間にすぐ体重がつまさきに移動しないと脱げてしまいます。 事実YouTubeで明治時代の日本を映した動画を見ることができますが、ほとんどカカトをつけずに歩いているし、意外にも無理がありません。極端に言えばずっとつま先立ちで、頭から上半身の重みをうまく利用してすーっと自然に歩いています。 車も電車もない時代にワラジで一日数10キロとかを普通に歩いていたんですからそりゃ遺伝子にも影響しますよね。 他方、アジア・ヨーロッパ。素材や種類はさまざまですが基本、靴です。なかでも木靴が多いです。木靴はオランダが有名ですが、ほかの国でも庶民は圧倒的に木靴で、革靴は高級品。クロッグ(木や厚いコルク底に革や布の甲をつけたサンダル状のもの)が100年、もっと直近まで履かれていました。アジアの靴も、革や布で上の部分はつくっていても、底の部分は木というパターンが多いです。 木靴は曲がりません。必然的にカカトから接地しないと脱げてしまいます。そこから革靴ができ、大量生産がはじまり、スニーカーもできたのが人類の靴の歴史で言えばつい最近。 「カカトから着地する文化VS.カカトをまったく使わない文化」。話が壮大になってしまいましたが、今、直面している日本人の靴の問題には歴史の蓄積があるということです。
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カカトの小さい靴はつくるのが難しい
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