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『IPPONグランプリ』徹底解説!「沖縄お刺身ブルー」か「ショムニブルー」か?バカリズムvs笑い飯西田の死闘を振り返る

バカリズムの焦りが出た瞬間は…

 第2問は「動画でアフレコ」。これは西田が一撃で取り返して1対1の同点に。真顔で悔しさを露わにしたバカリズムがちらりと横(モニター?)を見て笑顔を取り戻す一コマを経て、第3問は「頭に『おやおや』を付けて若者に何か言って下さい」。ここはバカリズムが攻める。 「おやおや扶養家族のみなさんじゃないですか~」 「おやおや『Z世代チーム』のみなさんお揃いで」 「おやおや新しい価値観だこと」  横で西田が何度も書き直しているあいだに、年長者のいやらしい感じを出した回答を連発。あれだけ「西田の一撃」を目の当たりにしたら、早く答えなければという焦りも出るだろう。ただどれもIPPONには届かない。そしてようやく西田が書き終えてボタンを押す。 「おやおやまだまだ尿酸値が低いようで」  ただ若者を見下すだけでなく、尿酸値が高いという自虐も入った絶妙なバランスの回答でIPPON。この切り口にバカリズムも「そっか……」と苦い表情。これで西田がリーチ。

ツイッタートレンドにもなった回答

 第4問は「青は1万色あるそうです。この色、なんていう?」という問題文と共に、なんともいえない薄い青の四角が表示された。これまでないタイプのお題に、首をひねり、眉間にしわを寄せ、頭を抱える2人。先に書き始めたのは西田。「沖縄お刺身ブルー」。これは届かない。  このあいだにいくつかフリップを書いていたバカリズムが、悩みながらひとつを手に取りボタンを押す。そっと出した答えは「ショムニブルー」。江角マキコたちが並んで着ていた、あの微妙な水色の制服が脳裏によみがえる……! 通じるかどうか迷った末に出した一答は見事IPPON。そういえばバカリズム脚本の『架空OL日記』(2017 読売テレビ)もブルーを基調とした制服だった。
ショムニ

『ショムニ』(1998〜 フジテレビ)FOD Channel for Prime Video配信中 (※画像はAmazonより)

 2対2の同点。これで勝者が決まる決勝第5問。お題は「ウルトラマン『あれ?今日は5分戦えるかも?』どうして?」。これまでラリー形式の「架空マンション名大喜利」など、ひねったお題が出されてきた決勝戦だが、今回は最後に割とストレートなものがきた。2人ともお題を聞き終えると同時にペンを取り、フリップに走らせる。先に書き終えてボタンを押したのは……バカリズム!  「2時間SP」  フリップの真ん中にポツンと書かれたフレーズは、シンプルかつテレビの“お約束”を想起させ、見事IPPON! 鮮やかな先制攻撃で勝ち進んできた西田に、最後の最後で一撃を喰らわせた。マイクに入らない声で「よかった~」と天を仰ぐバカリズムと、苦笑いの西田。回答の精度だけでなく、スピードや駆け引きも求められた、まさに死闘だった。  これでバカリズムは、2009年12月の初回で優勝して以来、6回目となる優勝。猛者たちがしのぎを削り、初登場の3名も大健闘だった今大会。28回目を迎えても、まだまだここまでヒリヒリした戦いを見せてくれることに感謝したい。
IPPONグランプリ

(イラスト/まつもとりえこ)

<TEXT/井上マサキ イラスト/まつもとりえこ 編集/アライユキコ> 【まつもとりえこ】 イラストレーター。『朝日新聞telling,』『QJWeb』などでドラマ、バラエティなどテレビ番組のイラストレビューを執筆。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身。Twitter:@riekomatsumoto
ライター。大手SIerにてシステムエンジニアとして勤務後、フリーランスのライターに。理系・エンジニア経験を強みに、企業取材やコーポレート案件など幅広く執筆するかたわら、「路線図マニア」としてメディアにも多数出演。著書に『たのしい路線図』(グラフィック社)、『日本の路線図』(三才ブックス)、『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?』(ダイヤモンド社)など。X(Twitter):@inomsk
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