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RADWIMPSの「Jリーグ新アンセム」にサッカーファンから賛否。30年使われてきた“鉄板曲”の代わりになるか

30年かけて築き上げた「歴史の重さ」

 さて、以上を踏まえてなお考えたいのは歴史の重さです。YouTubeのコメントにもあったように、なぜ築き上げてきたものを簡単に変えてしまうのでしょうか。もちろんRADWIMPSがいい悪いの話ではありません。  しかしながら、30年かけてそれが当たり前のものであるほどに馴染ませてきたスポーツと音楽の関係をアイデアひとつで覆してしまうことは、果たして今後のJリーグにとってプラスになるのでしょうか?

ヨーロッパでは原曲は変えず、音楽家たちがアレンジ

 どうしても思い出してしまうのが、ヨーロッパサッカーのUEFAチャンピオンズリーグです。この大会のアンセムもJリーグ開幕と同時期に制作され、いまも変わらずに使用されています。  のみならず、各年の大会ごとに2CELLOSやアンドレア・ボチェッリなどの音楽家が独自の解釈で観衆を楽しませています。そうした応用に耐えられる強いメロディを持っているからこそ、根幹が揺らぐことがない。  Jリーグにおいて、その強さを持つ音楽こそが他ならぬ「J’s THEME」であり「THE GLORY」でした。特に「J’s THEME」はロックのインストゥルメンタルという柔軟性から、春畑道哉以外の演奏者が自由にアレンジする展開もあり得たはずです。そう、アメリカ国歌のように。
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RADWIMPSの「大団円」は少し個性が強すぎ?
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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