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“中学時代の謎の風習”は、おっさんたちが必ず盛り上がる鉄板トークだった

せっかくのハチマキ買いの日をアレのせいで台無しにした僕

648508_m ハチマキ買いの当日、好きな子と地元の駅で待ち合わせた。そこに悪夢が襲った。単刀直入に結果だけをお伝えすると、めちゃくちゃお腹が痛くなってしまったのだ。ただでさえギリギリなのにウンコをする必要が生じ、本当に遅刻寸前まで追い込まれてしまった。さらに悪いことは重なるもので、出した後に見てみると紙がなかった。ここまで間が悪いと紙どころか神がなかったと言い換えても良いくらいだ。  結局、もうそんな時間はないと、ウンコ後に尻も拭かずに待ち合わせ場所に向かった。なんとか待ち合わせにも列車の時間にもギリギリ間に合い、好きな子と車内で楽しい会話を交わしながら隣の市へと向かった。完全なるデートだ。本当に楽しかったしドキドキした。けれども、良い思い出はここまでだった。  隣の市に到着し、布屋を目指して好きな子と商店街を歩いているとケツの穴が痒くなってきた。最初はなにか違和感がある程度だったけど、時間が経過するに従って、ケツアナ確定レベルで痒くなってきた。紙がなくて拭かなかったブツが渇いてきてカピカピに乾いて大暴れし始めたのだ。もはや痒いを通り越して痛いレベルにまでなっていた。  もう、そうなると考えるのはケツアナのことばかり。彼女と会話していても心はここにあらず。釘抜みたいなものでケツを掻き毟りたいと思うまでになっていた。最終的には、いいよな、お前はケツの穴が痒くなくて、と暢気な笑顔を見せる彼女に怒りを感じるレベル。それこそクラスのハチマキになるはずの購入した布で拭いてやろうかと思ったほどだった。

ハチマキの思い出は完全にケツアナとなった

「同窓会の時に判明したんですけど、みんなけっこうこのハチマキの風習に美しい思い出を持っているんですね。好きな人にあげたとか、もらえなくて涙したとか、欲しかったのに言い出せなかった切ない思い出とか、儚い思い出はハチマキと共にですよ。風習ってそういうものじゃないですか。なのに完全に僕だけケツアナが痒い思い出なんです」  このエピソードに、うちの中学はスタンダードに制服の第二ボタンだったなとか、うちは上履きだったとか他のおっさんから感想が寄せられる。ハチマキや第二ボタンは分かるけど、上履きはありえんだろ、上履きは、もらっても困るだろと盛り上がるのだ。ありえないだろ、水虫だったらどうするんだと思うのだけど、とある地方の中学では白い上履きにペンでメッセージを書いて卒業の日に好きな人に渡す風習があるらしい。なんとも奇妙な風習だ。 「じゃ、次は俺の中学だな」  別のおっさんが切り出す。  そのおっさんの中学では、入学すると男子が順番にトイレに呼び出される風習があったらしい。休憩時間に怖そうな先輩が教室にやってきて3人ぐらいが連れていかれるらしい。  連れていかれる先は、先輩たちの教室があるフロアのトイレで、そこに行くとさらに怖そうなボス格の先輩、おそらく番長レベルの人がラオウのごとく腕組みをして立っているそうだ。イメージ的にラオウステージのラオウに近い感じらしい。
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ビビっている新入生を前に、番長は……
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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