更新日:2023年06月04日 19:04
仕事

会社に冷遇され適応障害、うつ病に…「女性になった社員」が労災認定を勝ち取るまで

アイデンティティを否定されるハラスメント

性自認や性的指向に関する差別的な言動や嘲笑、精神的・肉体的な嫌がらせやいじめを行うことを「SOGIハラスメント」と言われるが、はまさに“SOGIハラ”の被害者となった。 トランスジェンダーの話題となると、ネット上には、性癖だと認識した言説も飛び交う。当事者視点から、「それは間違っている」と児玉さんは話す。 「『性同一性』という言葉は聞いたことがあると思います。『性』は英語にするとGENDERで性別のこと。そして『同一性』はアイデンティティと訳されるんですよ。なので、SOGIハラは『アイデンティティを否定される』ということなんです。 自分のアイデンティティを、否定され続けたら死にたくなりますよ。まして、トランスジェンダーはそれが人として生きて行く根幹でもあるわけです。趣味だと思っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません」

担当変更で仕事が激減してしまう

上司からのハラスメントが始まって約半年、職場全体の雰囲気を鑑みてか、会社は児玉さんを当該上司と直接のやりとりが生まれにくいよう、職務担当の変更を行った。 ただ、それは、すでに性的なアイデンティティを蹂躙されていた児玉さんに、さらなる追い討ちをかける結果となった。 「私にとってそれまでやって来た仕事を取り上げられたという感覚です。実際、仕事内容が変わったことで私の仕事は激減しました」 仕事をやりくりしたり、達成したりすることは、社会人にとってのアイデンティティになり得る。児玉さんは会社によって、こちらのアイデンティティも潰されることになったということになる。
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面談場所はまさかのカラオケボックス…
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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