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朝の情報番組“視聴率バトル”の実態。ZIP!の参戦で民放4局の競争が激化

日テレの大改革の手応えは?

dayday

番組公式HPより

 拡大分の『ZIP!』第2部の個人視聴率は第1部より連日1%弱下がる。総個人視聴率(PUT、テレビを観ている家の割合)が、午前7時台より同8時台のほうが3%前後低いので、やむを得ない面がある一方、系列局やスポンサーまで巻き込む大改革をした日テレとしては、1部並みの視聴率を期待しているはず。より高い視聴率を得て、そのまま『DayDay.』第1部に流れ込みたいだろう。そうなってこそ大改革の目標が達成されたことになる。 『ZIP!』第2部は他局の情報番組が始まる直前の午前7時58分過ぎからエンゼルスの大谷翔平選手(28)らメジャーリーグの情報を入れてくることが目立つ。チャンネルを替えさせないためなのは書くまでもない。一番おいしいところを午前8時前に持ってきて、他局の出鼻をくじこうとしている。  その後はニュース、エンタメ情報、生活情報などが続く。こう書くとほかの情報番組と違いはないようだが、特色はエンタメ情報の厚さ。1990年代まで情報番組の目玉だった芸能スキャンダルは一切やらず、ドラマ界や映画界、音楽界などの情報を伝えている。芸能スキャンダルをやらないのは他局も同じだ。

『DayDay.』は“ニュースの薄さ”がネックか

 一方、『DayDay.』第1部は苦戦が続いている。一番の理由は他局より1時間遅れで始まることに違いない。放送開始時に他局は放送の中盤。その時点で視聴者にチャンネルを替えさせるのは簡単ではないだろう。  ライバルの『羽鳥慎一モーニングショー』と『めざまし8』が大きな売り物とするニュースが薄いことも影響しているはず。5月26日放送では前日に起こった長野県中野市での4人殺害立てこもり事件を冒頭で取り上げたものの、基本的にはニュースはサラッとしか扱わない。「日テレニュースランキング」と題したフラッシュニュースで短く触れる程度である。  ほかは生活情報が中心。5月25日放送の冒頭では「空き家の活用法」をやり、以降は「企業がSNSを使って発信する裏技」などが取り上げられた。さらにエンタメ情報も厚めにやっている。『ZIP!』第2部との共通点である。 『DayDay.』第1部の4月3日の初回は視聴率が個人2・6%、世帯5・0%(関東)と上々だった。それが現在では個人で約1%、世帯で1・5%落ちている。逃げてしまった視聴者にとって、番組が事前に考えていた内容と違っていたのだろう。  何が違っていたのか。やはりニュースが薄いことが大きいのではないか。武田アナはNHK時代には報道畑が長かったが、そのキャリアが生かし切れていないようにも見えるため、ネット上には「武田アナの無駄遣い」との意見も見受けられる。
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羽鳥慎一〜、めざまし8の戦略
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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