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朝の情報番組“視聴率バトル”の実態。ZIP!の参戦で民放4局の競争が激化

羽鳥慎一〜、めざまし8の基本戦略とは

羽鳥慎一 モーニングショー

番組公式HPより

 一方で日テレの大改革によって、午前帯の情報番組の多様化が進んだという見方も出来る。これは視聴者にとって良いことに違いない。『羽鳥慎一モーニングショー』と『めざまし8』はともにデパート型の情報番組で、ニュースとその解説から生活情報、エンタメ情報、大型天気予報までやるが、もちろん差異がある。 『羽鳥慎一モーニングショー』は報道局による制作ということもあってか、政治や経済など硬派畑のニュースが目立つ。昨年9月、故・安倍晋三元首相の国葬に関する事実誤認発言で出勤停止10日間の謹慎処分を受けた後、レギュラー出演から離れていたコメンテーターの玉川徹氏(60)も4月3日から復帰し、従来通りの体制に戻った。当意即妙の発言は相変わらず。だが、謹慎前の奔放さはない。猛批判を浴びたので、これは仕方がない。  視聴率は個人も世帯もトップだが、観ている人は高齢者が多く、コア視聴率(13~49歳の個人視聴率)では『めざまし8』に逆転される。現役世代から高齢者まで幅広く観てもらうのは難しい。 『めざまし8』も報道局経験者の多い情報制作局がつくっているだけあり、ニュースには積極的だが、着ぐるみのキャラクター「くらもん」を登場させたり、ニュースを理解するための基礎知識をあらためて解説したり、若い世代を意識している。関西と名古屋は日テレの大改革前から強く、『羽鳥慎一モーニングショー』とトップの座を争っている。
めざまし8

番組公式HPより

他局と差別化を図る『ラヴィット』

 次に麒麟・川島明(44)と田村真子アナ(27)がMCを務める情報バラエティ番組『ラヴィット!』。この番組を「高視聴率」とする向きも一部にあるので、先に挙げた数字を見て、「日テレの大改革の余波で視聴率が落ち込んだ」と誤解する人もいるのではないか。だが、実際には3月末までとほぼ変わらない。それどころか2021年3月末の放送開始から視聴率に大きな動きはない。なぜか「高視聴率」という言葉が一部で一人歩きしている。  この番組は「今の暮らしが10倍楽しくなるライフアイデア発見バラエティ」と銘打ち、他局の情報番組と一線を画すことを宣言している。視聴率も争うつもりはないだろう。ニュースは一切やらない。5月26日放送ではサンドウィッチマンが下積み時代に通った中華屋などが取り上げられた。
loveit

番組公式HPより

 個性派である分、熱い番組ファンが目立つ。だから、余話をまとめた番外編『夜明けのラヴィット!』(土曜午前5時45分~同7時半)が4月から始まったのだろう。  午前帯の情報番組戦争に終わりはない。 <文/高堀冬彦>
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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