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“無職の漫画家”が職業訓練校に入った理由。「漫画しか描けないと思っていた…」<漫画>

無職だったからこその繋がりは「特別なもの」

——『無職の学校』では職業訓練校での人間関係がいきいきと描かれていますよね? 同じ境遇の同期の方とはどのような関係性だったのでしょうか? 清家:訓練校時代の同期にはいまだに仲良くしている人も、もうあまり連絡を取らなくなってしまった人もいます。でもあの時同じ無職だったからこその繋がりは、本当に特別なものでした。 当時特に仲が良かった人たちとは、授業後に「お互い頑張ろうな!」と握手を求められるという、胸熱な打ち解け方をして(笑)。訓練校は5分しか休憩時間がないのに、授業が終わるたびに喫煙所で喋っていましたね。 緊急事態宣言が止まったときに、1度だけ訓練校の同期と飲み会をしたのも思い出です。30代の同期の恋バナで盛り上がったりして。老若男女関係なく全員割り勘なのもいい感じでした。 『無職の学校』でも職業訓練校内のエピソードに限らず、「仕事がないときの営み」みたいなもの全般を描くのが好きですね。

無職時代の「細かいことばかり覚えている」

——職業訓練校以外では、どのような生活を送っていたかお聞きしてもいいですか? 清家:漫画を描いたり少しアルバイトをしたり色々あったのですが……。無職時代って良くも悪くも全てが鮮明で、細かいことばかり覚えています。 ある日、バス停でおばあちゃんがバナナを食べているのを見かけたんです。それだけなのに「ああ、バナナなんだ。あんなにおいしそうに食べてる……」って謎の感動で涙が止まらなくなったこととか(笑)。 あとは同棲していた今の奥さんに、毎朝お弁当を作っていましたね。それが「僕頑張ってるよ!」っていう精一杯の表明でした。でも、ギリギリの精神状態で作っているので、ゆで卵とか失敗しちゃうとめっちゃヘコむんですよ。
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「漫画以外にできること」が自信に
フリーライター。サブカルチャーとグルメ、自由業のキャリアに関心があります
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