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“無職の漫画家”が職業訓練校に入った理由。「漫画しか描けないと思っていた…」<漫画>

「漫画以外にできること」が自信に

——現在清家さんは漫画家として活躍されています。職業訓練校(無職)時代を振り返ってよかったと思うことはありますか? 清家:世界が広がったことです。お金はないけど暇はあるので、新しい趣味ができたり。僕はお寺巡りやリサイクルショップ通いにハマっていました。また社会の冷たさを知った分、人の優しさに気付くようにもなりましたね。 そして、漫画家として生きていくチャンスをもらったなと思っています。時間や収入面もそうですし、訓練校に通った経験があったからこそ今『無職の学校』を描けています。 僕はずっと漫画しか描けないと思って生きてきて。でも訓練校で機械設計を学んで、漫画以外にもできることが増えました。それもすごく安心感というか自信になっていますね。

社会のスピードは「早すぎる」

——今後『無職の学校』でもっと描いていきたい、経験や感情はありますか? 清家:利隆(主人公)が職業訓練校の外の社会に触れていく姿は、今後も掘り下げたいです。 僕は訓練校を出たあと『無職の学校』の連載が決まるまで、鉄工所で製図のアルバイトをしながら漫画を描いていました。そこで最初に仕事を教えてくれた上司がすごく優秀な人で。 頼り甲斐があって雰囲気も渋い感じで、彼にすごく憧れちゃったんですね。でも昼休みに話したらその人はまだ入社3年目の20歳で、しかも子供もいました。 その時僕は27歳。正直僕は一体何をしに訓練校に行ったんだって思ってしまいました。『無職の学校』でも、早すぎる社会のスピードについていけない葛藤に寄り添っていきたいです。
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“無職同士”は繋がりにくいからこそ…
フリーライター。サブカルチャーとグルメ、自由業のキャリアに関心があります
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