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何でもワイヤレスにするのが“絶対的正義”ではない。テクノロジーの進化に辱められた話

進化がもたらす不自由もある

 何かが発展すると、そこまであったコードを取り去りがちだ。コードがないものが最先端で便利である。それは異論がないところだが、コードという制限があるからこそ、防げることも存在するのだ。便利さばかりに気を取られていると、思わぬ惨事を引き起こしてしまうのだ。  冒頭の、説教するおっさんと若手、ついに説教はクライマックスを超え、おっさんもトーンダウンしてきた。説教の後のフォローなのか、愚痴みたいなことを若手に伝えだした。 「あーあ、去年まではテレワークだったのにな。出社が必須になると、もう首に紐をつけられたようなもんだよな」  これには若手が反応する。 「テレワークってそんなに自由だったんですか?」 「まいにちサボりまくって酒を飲みながら仕事していた」  得意気に語るおっさん。それはもしかしたら、大惨事を引き起こすことになっていたかもしれない。出社が必須になって紐がついて良かったじゃん。コードレスはなにもいいことばかりじゃないよ。揺れる電車内でそんなことを考えていたら、AirPodsが外れて飛んで行った。 <ロゴ/薊>
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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