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広島・坂倉が“日大三を選んだ”理由。甲子園には縁がない3年間でも「一生の財産」

教えが実を結び、広島の主力選手に

『一生懸命』の教え方

「『一生懸命』の教え方」(著者・小倉全由/日本実業出版社)

 これからほどなくして、小倉氏は日大三のグラウンドにやってきた広島の苑田聡彦スカウト統括部長と話し、坂倉の現状を聞いた。すると苑田氏はこう話った。 「心配いりませんよ。彼はとにかく真面目で一生懸命野球に取り組んでくれています。投手ともよくコミュニケーションを取っているそうですし、コーチからチームで一番練習しているとも聞いている。ライバルとして誰が入団してきても、われわれは4~5年先にはカープの屋台骨を背負う選手になってくれると期待しているんです」  苑田氏の言葉通り、坂倉は妥協することなく努力し続けた。1年目から一軍で3試合に出場し、2年目以降も9試合、51試合、81試合、132試合と出場、22年シーズンは143試合全試合出場を果たした。そして今季は新井貴浩新監督の下、坂倉を「1年間、捕手として起用する」と宣言。阪神との熾烈な優勝争いに欠かせない選手となった。まさに小倉氏が教え続けた「一生懸命」が実を結んだ結果となった。 「ここから何年できるかは、彼のさらなる努力にかかっています。1年でも長くプレーして、記録にもファンの記憶にも残る選手になってもらいたいですね」  小倉氏は坂倉の成長に目を細めた。  小倉氏の教えを受けた坂倉がこれからプロ野球選手としてどれだけ飛躍していくのか、この先も注目していきたい。 <TEXT/スポーツジャーナリスト 小山宣宏>
スポーツジャーナリスト。高校野球やプロ野球を中心とした取材が多い。雑誌や書籍のほか、「文春オンライン」など多数のネットメディアでも執筆。著書に『コロナに翻弄された甲子園』(双葉社)
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