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独身・実家住まいの“子供部屋おじさん”。年250万円の転売で得た「小さな幸せ」とは?――大反響・子供部屋おじさんトップ5

「これどういう人生なんだろう…」

 ノリさんは主に皮製品の転売屋だ。そのため、夏はいくら出品しても売り上げはピタリと止まるという。そこでノリさんは、夏は働くことを止めた。 「夏は売れない代わりにとにかく仕入れる。売れない分、安く市場に出回っているからね。調子がいいときは溜まったお金でタイとかベトナムとか物価の安い東南アジアに逃げるんだ。3か月くらい遊んで暮らしても旅行費は30万円くらいに抑えられるからね。中国、ラオス、カンボジア、ミャンマー、インド、ネパール、マレーシア、インドネシア、フィリピン。この10年でいろいろな国に行ったよ。ヤフオクなら海外にいながらでも、仕入れはできるからね」  高望みさえしなければ楽をして生きることができると気が付いたノリさん。しかし、そんな彼にも寂しさでどうにもならなくなった時期があった。 ツーリング「海外旅行に行かない夏は毎日のようにひとりでツーリングをしていたんだけどさ、さすがに寂しくなるときもあったよ。河口湖の周りをバイクで走って、綺麗な景色を写真に撮っても見せる人がいない。深夜に箱根の山下っているときとか、“これどういう人生なんだろう”って思ったよ。  若い頃はとにかくとがっていて、サラリーマンとかをバカにしていた節があったけど、いまはちょっと改心して、少なからず友だちができた。いま一番仲が良い奴には、売れ残っていた在庫の服を全部タダであげたんだ。ゴミにするよりは喜んだ顔見る方が俺も嬉しいからな。そいつのクローゼットなんか、全部俺があげた服なんだから。結構いい服ばっかりなんだぜ」  金がないならないなりに、自分なりの幸せな人生を見つけられるものなのかもしれない。<取材・文・撮影/國友公司>
元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)。Twitter:@onkunion
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