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ロンブー淳、前澤友作…「有名人を騙った怪しい広告」が“削除されにくい”ワケ

特定にいたる可能性は「低い」

前澤さんが以前行っていた“お金配り”活動の様子は世界中の詐欺組織に拡散し、勝手に加工された画像や動画が詐欺ツールとして使われ、現在でも大量に出回ってしまっています。 詐欺師にとっては、著名人の肖像権を侵害することは法的手段を取られるリスクはありますが、もともと匿名性が強く、広告出稿しても事前のスポンサー考査が緩いSNSを隠れ蓑にしていることに加え、国際的な犯罪組織であればなおさら特定にいたる可能性は低いでしょう。 今回のケースでは、日本向けにローカライズされた共通の手法がほぼ同時多発的に発生しており、詐欺師の元締めは同一である可能性が考えられます。

「詐欺認定」されるまでには厳しい道のりが

これらの詐欺広告やアカウントに対し、SNSプラットフォーム側はどう対応しているのでしょうか。 各プラットフォームは独自に定めた“ポリシー”に従って投稿やアカウントを削除、凍結したり、場合によっては司法当局に情報提供を行っています。グローバル共通のポリシーを基本としつつ、さらに各国や地域の実情に合わせて細かく策定された“ガイドライン”に沿って、AIや“コンテンツモデレーター”と呼ばれる人々によって、24時間365日体制で投稿を監視し対応にあたっています。 しかし、投稿が詐欺としてプラットフォームに認定され削除に至るには、複雑な条件が存在します。 例えば、投資系の詐欺であれば「元本100%保証」「必ず利益が出ます」などといったベネフィット(利益)を保証する表現だけでなく、その利益は現金で提供されるのか、仮想通貨やその他のポイントなのか、またモノ配り系の詐欺であれば全員が対象なのか抽選なのか、参加条件としてアカウントのフォローや投稿へのいいねなど、エンゲージメントを増やすよう促すのか。詐欺投稿と認定されるにはこれらの項目の複数の組み合わせが必要とされているようです。 従って、基本的にセミナー名目で参加者を募る内容だけでは、投稿やアカウント、広告が詐欺として認定されることはありません。 常識的に考えてあきらかに詐欺と思われるものでも、なかなか削除に至らないのはこのような規定となっていることが要因と考えられます。
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詐欺認定される頃には「もはや古い手法」に
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在京テレビ局関連会社、一般企業広報、人材教育コンサル会社を経てネットコンテンツ管理業務に従事。これまで数多くの問題投稿に向き合ってきた経験とメディアやコンサル業界で培った見識を活かし、ネットリテラシー向上を目的とした講演や評論活動を行う。一般社会人や中高生、教育関係者、芸能関係者等に特化した独自の研修プログラムを提供している。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員、アンガーマネジメントファシリテーター、国内A級ライセンス資格を所有。
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