更新日:2023年12月22日 21:10
恋愛・結婚

フィリピンの水上スラムで少数民族の女性と国際結婚した日本人男性の“その後”

価値観の違いから喧嘩続きの毎日

結婚式の様子 そうして2016年、大夢さんは21歳で結婚した。婚約した時点で全財産が2000円しかなかった彼は、自身のブログで結婚式のカンパを募る。記事は2日間で3万人に読まれるバズを記録し、無事に挙式へと至った。  結婚から1年半後には長男も生まれ、順風満帆に思えた結婚生活。ところが……。 「じつは今、離婚に向けて話を進めている。結婚して2~3年目くらいには、離婚話が出ていたんだ。俺はその頃、バジャウの魅力を外に伝えるのに必死で、村の中にゲストハウスを建てたり、自宅にもいろんな人を招いたりしていた。ふたりだけの生活を送れないのが、嫁には耐えられなかったみたい」 ゲストハウス  バジャウ族の文化を知るツアーを主催していた大夢さんのもとには、毎日ひっきりなしに人が訪れていた。自宅に常に誰かがいる環境のストレスや嫉妬から、シャイマさんは徐々に精神的に不安定になっていったという。 「シャイマが求めていたのは、家族を最優先する普通の家庭。それは分かっていた。でも俺は、バジャウに来てくれる人みんなが大切だったから、彼女も含めて全員とフラットに接していたんだ。それが原因で愛情不足に陥って、ヒステリーを起こすようになって。シャイマの求める愛に、俺は応えられなかったんだよね」

自宅の崩壊がきっかけで別居

テレビの取材の様子 喧嘩ばかりの日々が数年間続き、もはや話し合って解決することすら不可能だった。大夢さん自身も、心のバランスが取れなくなってしまったそうだ。 「俺が愛をもっと注げば解決したことだけど、喧嘩が激しくなるにつれて、意識的に愛することができなくなってしまって。どっちが悪いとかじゃなく、お互いが大事にしているものが違っただけ」  そんな状況に変化をもたらしたのが、2021年の台風による災害だ。大型台風の影響でバジャウ族の村は壊滅状態になり、大夢さんの自宅も全壊してしまう。
壊滅状態

台風の影響で壊滅状態に…

 崩壊を免れた別宅にシャイマさんと息子を避難させ、大夢さんは村の復興に尽力した。復興作業が終わると、妻子を残して一時日本に帰国し、国内やカンボジア、タイを放浪してまわっていたという。 「離れてからは、生活費を送るときに連絡を取ったり、息子と話したいときにビデオ通話をしたり。フィリピン人からは『無責任だ』『なんで家族と一緒じゃないんだ』って言われたけど、離れてからのほうが良い関係でいられてさ。  離婚を決めたのは、つい最近。シャイマはずっと『大夢とは離婚した』って言っていたそうだけど、俺はあいまいなままにしていたんだよね。この先の目的がやっと明確になってきたから、決心がついたよ」
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あやふやにしていた関係に…
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福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0

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