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“楽天離れ”に歯止めがかからず…「中華系ECサイト」と比べて致命的に弱い部分が露呈

筆者(田中謙伍)はAmazon日本法人に新卒入社し、現在はAmazonで商品を出品する企業のコンサルティング会社を経営している。 Amazon日本法人在籍中に副業でAmazon内で商品を出品し3億円を稼ぎ、現在はAmazon内でヒットする商品の成功要因を分析できる立場を活かし、日刊SPA!では「ヒットする商品の背景」についてお伝えしていきたい。 以前の記事で、楽天市場の10~20代の若年層のシェアをQoo10が奪いつつある事実と、その背景について解説した。実はQoo10以外にも強敵が待ち構えているのだ。 単なる「世代的な入れ替え」だけでは説明できない、2つのECサイトが楽天市場の脅威となる背景について解説しよう。
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©Koukichi Takahashi

ファストファッションが生み出したモンスター「SHIEN」

その2つのECサイトとは、「SHIEN(シーン)」と「Temu(ティームー)」だ。どちらもあまり耳にしたことのない人も多いかもしれない。順番に解説しよう。 まず、成長著しいのが、圧倒的なスピードで売上1兆円を超えを果たした「SHEIN」だ。最大の強みはユニクロやZARAなどの商品とデザインが酷似した商品を、半額以下で販売するそのデザイン性と価格にある。彼らが急成長を遂げて普及に成功した理由は、大きく2つある。

「ユニクロは高いからSHIENで買う」という若者も…

1つ目は、中国で安く商品を生産できる工場を持っている点だ。周知の通り、多くのファストファッションブランドは中国に工場を持っている。すでに沿岸部は労働賃金が値上がりしたものの、いまだ中国内陸部では安価なコストでアパレル製品を生産できる。 そして、これがSHIENという“巨大モンスター”を生み出す温床となった。彼らは内陸部に点在する世界中のアパレル工場で生産された素材を、自社工場に集約して製品を作ったのだ。そのため、流通・仕入れコストがほぼゼロ。結果、ありえないほど安価で商品を出品することができている。 これが日本の10~20代の若者(特に女性)にも支持され、今や「ユニクロは高いからSHIENで買う」という若者も珍しくなくなっている。試しにYou TubeやInstagramで「#SHIEN」で検索すると、若者たちがこぞってSHIENで買った商品をレビューする投稿が確認できるだろう。Qoo10同様、こうしたSNSでの集客力もまたSHIENの強みとなっている。
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「ロスを極限まで減らす」仕組みが
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EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している

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