お金

ユニクロだけじゃない!“オワコン説”が囁かれていた「アパレル業界の大逆襲」が始まった

大江氏の戦略「当たり前のことを当たり前に」

大量廃棄

在庫過多による大量廃棄は業界が抱える問題の一つだった(写真はイメージ)

 大江氏は2020年5月に三陽商会の社長に就任。なお、大江氏就任以前に3人の社長が再建に失敗して社長の座を追われています。三陽商会再建が誰にでもできることではなく、非常に困難なミッションであったことがこの経緯からもわかります。  そして困難なミッションを成功させた大江氏ですが、あるインタビューにおいて三陽商会再建について「当たり前のことを当たり前にしただけ」と話しています。  大江氏の語る当たり前のひとつが在庫のスリム化です。日本のアパレル業界では一着の単価を下げる目的などから大量生産が当たり前となっていました。そして大量生産は多くの在庫を抱えることになるため、大量廃棄にもつながります。

徹底的なスリム化を図る

 大江氏は業界の常識となっていた大量生産・大量消費にメスを入れます。  大江氏就任前には在庫高は100億円を超え、ピーク時には141億円もありましたが、就任以降は100億円を切る体制を確立します。2022年2月期ではついに在庫高を80億円台の水準にまで下げています。  スリム化を代表例として、大江氏は各種改革を進めます。これは大江氏は「当たり前」と言いますが、言うは易く行うは難しです。業界の慣行を変えていくことは並大抵なことではありません。 「当たり前のことを当たり前にしただけ」。この困難を大江氏は見事に乗り越えて黒字回復を成功させました。
次のページ
店舗からECの“逆”の発想
1
2
3
4
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ