更新日:2023年10月25日 12:56
仕事

「ぼくのなつやすみ」作者の創作カレー店が人気。ゲームづくりとの“意外な共通点”とは

火星カレーの美味しさの秘密は?

火星カレー

火星カレーの「鴨カレー豆トッピング」と「豚カレー草トッピング」

――ゲームではいろんなアイデアが詰め込まれてますが、その発想はどこから来ていますか? 綾部:これは「ぼくなつ」のナレーションをやってもらったダンカンさんから教えてもらった方法なんですが、1つの優れたアイデアを出すために、50個とか100個とか、多めに目標を決めてたくさんアイデアを書くんです。  質は問わず、とにかくたくさん書く。そうすると脳みそが1つの物事に集中してアイデアを掘っている時間が長くなるので、高確率で面白いものが出てきます。実は火星カレーも、100個までは書いてないかもしれないけど、相当考えたトッピングメニューの中から選んでます。だからまだまだ出してないカレーのアイデアもあるんです。 ――どんなアイデアか気になります。火星カレーの隠し味も気になるところです。 綾部:隠し味は秘密です(笑)。僕は料理人として勉強していたわけではないから、普通はこれを入れないよねっていうものが大量に入っていたり。あとレシピの開発時にいくつか気づいたことがあって、理論として説明できるようなおいしさの秘密が5つ、6つくらいあります。1つだけ教えるとヒントは「空気」ですね。旨味は入れるだけではなく、引き出す必要もあるんです。そんなところが火星カレーの特徴になっています。

『ヒルナンデス!』出演で「やっと怪しくなくなったね」

綾部和

ゲームデザイナー、ゲームシナリオライター、カレー店オーナーの綾部和さん

――カレーを作るのは、なかなか手間がかかっていますよね。 綾部:何しろ仕込みに時間がかかります。仕込みが終わったあとは業務用の冷蔵庫で凍る寸前の温度を保ち、数日寝かせます。だから作っては寝かせての鬼ごっこ。 ――火星カレーは、開店当初はあまりお客さんが入っていなかったみたいですが、お客さんが入りだすきっかけは何だったんですか? 綾部:オープンして半年くらいの時に、池袋の地下鉄改札の真ん前にでっかい広告を出したんです。そのすぐ後にテレビ番組『ヒルナンデス!』(日テレ系)に出たことかな。お客さんから「やっと怪しくなくなったね」と言われました(笑)。そこから少しずつお客が増えていきました。 ――火星カレーって名前がちょっと怪しいですもんね。ネーミングはどこから来てるんですか? 綾部:20歳すぎくらいの時から、今の火星カレーの元になったものを友達に振舞っていたんですが、「インドでもタイでもない、地球にない味」だから「火星カレー!」と、その時点ですでに言ってました。店をはじめる時、どうせ誰かにマルシー(商標登録)を取られてるネーミングだろうと思っていたら、運よく誰にも取られておらず、火星カレーと名乗ることができました。
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宮崎駿の伝説と「僕も少し褒めてもらいたい」
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放送作家を経てフリーライター&作詞家として活動中。好きなテレビ番組は「ザ・ノンフィクション」、好きなラジオはTBSラジオ、得意料理は春巻き。得意領域はカルチャー、音楽、芸能、住宅、美容など。Twitter:@rokohiroko
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