更新日:2023年10月26日 19:56
お金

「大手菓子メーカー」は軒並み苦しい状況…“値上げラッシュ”で苦境を乗り切れるか

各メーカーの原価率が2~3%上昇

原価率の変化

原価率の変化 ※各社決算短信より筆者作成

 江崎グリコは2022年度の原価率が63.6%となり、1.9ポイント悪化しています。その他、各メーカーともに2~3%程原価率が上がりました。  グリコは2022年8月以降に出荷したポッキーやプリッツ、ジャイアントコーン、パピコなどの価格改定を行いました。3~11%の値上げ。同時に一部のブランドで内容量の変更も行っています。  2022年度のポッキー、プリッツは増収での着地となりました。ステルス値上げを行った神戸ローストショコラが減収となってグリコのチョコレート部門の売上高は前年度比1.9%減の331億円となったものの、減収幅は小幅に留めました。ビスケット部門は前年度比5.3%増加して195億円でした。  主力である冷菓部門は同3.7%増の801億円でした。結果としてグリコが値上げを行った2022年12月期の売上高(グリコは2022年12月期に収益認識を改めているため新基準での比較)は前年同期比3.9%増の3010億円となりました。

値上げ後も原材料高の影響を吸収できない

 しかし、増収効果がコスト高の影響を吸収しきれていません。原材料高は営業利益に対して69億円のマイナスインパクトを与え、増収効果は48億円のプラスに留まっています。  国内だけに限ってみると、コストアップは51億円で増収による貢献は6億円でした。価格転嫁がまるでしきれていません。  この現象は他のメーカーも同じ。カルビーは2022年6月1日出荷分から、3~15%の値上げを行いました。カルビーの2022年度の売上高は2793億円で前年度比13.8%もの増収でした。国内事業の売上高は10.1%増加しています。  これは、原材料高が117億円もの営業利益の下押し要因になっています。価格改定効果は102億円の押し上げ効果を生みましたが、やはりコスト高の影響に負けています。
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価格改定効果が出始めた各メーカー
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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