更新日:2023年10月26日 19:56
お金

「大手菓子メーカー」は軒並み苦しい状況…“値上げラッシュ”で苦境を乗り切れるか

価格改定効果が出始めた各メーカー

 実は菓子類は価格に対する消費者の許容度が低く、過度な値上げが販売量に直結しやすいという特徴があります。  経営コンサルティングのデロイトトーマツは物価上昇に関する調査(2023年度「食生活に関する消費行動調査」)を行っています。その中で商品カテゴリ毎の値上げ受容性を調べており、菓子類の許容値上げ率は9.4%でした。この数字はインスタント食品の9.3%に次いで低い数字。野菜は10.0%、ビールは10.8%です。菓子類は値上げを行うことで、買い控えが起こりやすい領域の一つに挙げられます。  2023年に入って、メーカーの収益構造に変化が訪れました。  明治ホールディングスの2023年度1Qの営業利益に対する価格改定効果はプラス144億円となり、原材料高90億円のマイナスを上回りました。カルビーは値上げ効果が44.2億円の増益要因となり、コスト高の28.6億円を軽く超えています。グリコ、森永も同じです。  菓子類は消費者の価格に対する消費行動が敏感で、各メーカーがコスト高の影響を値上げで打ち消すことができはじめていることから、再び原材料高やエネルギー価格の高騰が起こらない限り、値上げは緩やかに終わりを迎えるかもしれません。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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