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コンビニ店員が恐れる“コワい客”。入れ墨の男に突然呼ばれ…――コンビニの困った客トップ5

深夜、客に殴られかける

コンビニ 筆者が客に暴力をふるわれる恐怖を味わったのは、10年以上前になる。当時、都心の駅近くの店舗で働いていた。そこではブラックオーナーのもと、忙しいのにワンオペだった。  夜中1時までは準夜勤の店員が入っているが、その後は朝8時まで一人となる。また、土日は9時まで働かなければならなかった。筆者は連続夜勤でストレスと疲労が蓄積されていた。  時刻は土曜の朝8時過ぎ。睡魔もかなり襲ってきた。その時だ。体が大きく、タンクトップ姿に入れ墨の入った20代後半ぐらいの男がいきなり入ってきた。 「おい! 車内で携帯を充電するやつ、どれだよ! 店員、こっちこいよ!」  おおよそ、カタギには見えない。こんな時に、なぜ一人でシフトに入っていたのか……自分の運命を呪う。ベテランスタッフや、他にスタッフが二人ぐらいいたらどうにかなりそうだが、面倒なことになりそうだと思った。 入れ墨 男のところに行き、説明する勇気もなかった。筆者は本能的に避けようと、聞こえないふりをしてしまったのだ。レジ袋を整え、レジを拭いた。“なんでこんな思いをしないといけないのだ”という気持ちもあった。  すると男は、「この野郎! なんでテメエは呼んでいるのに来ないんだよ!」と凄い剣幕でレジ前にやってきた。  間違いなく殴られるなど危害を加えられると思った。実際このような場合、他の客は何もしてくれない。見ないふりで目を逸らすか、チラ見するだけだ。せめて警察に通報してもらいたいものだ。 「なんでテメエ、呼んでいるのに来ないんだ!」 「……(行けるわけない、お前のところなんて)」  本当はそう言ってやりたいが、言えるわけがない。その後、どんな言いワケをしたか覚えていないが平謝りをした。それにしても、なぜこんなことで謝らないといけないのだ。次の瞬間、男は拳をあげた。  逃げないといけない。すると、そいつはレジに置かれていたレジ袋の束を思いっきり筆者に投げてきたが、間一髪それを避けた。男は文句を言いながら帰っていったが、さすがにこの時ばかりは泣きそうになった。  その日、店長が来てから顛末を報告したが、労りの言葉さえもなかった。 「浜さん、ビデオ観たけど、コワいね。あんなことやられたら」  しかし結局、トラブルに対応できるだけの人数に増やすことにはならず、この店舗を辞める決心をした瞬間だった。 <取材・文/浜カツトシ>
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