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「児童相談所は牢獄」親の虐待で“一時保護”された13歳少年の悲痛…自立支援の実態を東京都に聞いた

警察に取調室に連れていかれた

 父親との二人暮らしで生活するN君は、同級生からのいじめが原因で、通っていた男子校に登校できなくなった。しかし不登校になると、次は家にいる父親との関係が悪化した。  いじめや暴力のことを相談しても「やり返せもしないチキン」「甘ったれるな」「学費を払っているんだぞ」と強い口調で責め立てられて、次第に相談する気力を失った。そしてN君が児相に入るきっかけとなったのも、この父親からの”暴言”だった。ある日、外出先で父親からの「痛い目、怖い目に遭いたいの?」という言葉に気分が悪くなり、とうとうその場で倒れてしまったのだ。 「救急車が来て、『父親からの暴言が原因かもしれない』と話したら警察を呼ばれて、そのまま取調室に連れて行かれました」  取調室でN君は「帰りたくない。暴言を吐かれている」と、その場にいる大人たちに助けを求めたが、8時間の拘束の末、そのまま児童相談所の一時保護所に保護されることになったという。本人の助けを求める声に応えた形での保護。しかし、N君は「あそこは牢獄です」とつぶやく

「このままでは死んでしまう」

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強い口調で責め立てる父親とN君のLINEのやり取り(※画像一部加工)

 一時保護所に到着すると同時に、スマホを含む持ち物を全て没収され、そのまま外から見えないようにスモークが貼られた個室に「ぶちこまれた」とN君は言う。 「何時間も、何もできないまま放置されました。水分もとれなかった」。そして、そこには話を聞いて味方になってくれる人など、誰もいなかったという。担当になった児童福祉司は、”虐待が疑われる”として、父親と面会を行った。しかし、父親の言い分しか信じず、N君には「学校に行っていない」「生活リズムが崩れている」と繰り返し注意したという。 「この人に何を話しても無駄だと感じたので、今でも不登校の原因がいじめだということさえ伝えていません。泣いたり叫んだりしていたら、『もう中2だろ』『うるせえ』『まわりに迷惑をかけるな』と怒鳴られました」 「このままでは死んでしまう」。N君は何度も職員に「帰りたい」と訴えたが、軽くあしらわれるだけだった。 「一度、逃げようとしたことがあるんです。誰も見ていない隙に走って脱走しようとしました。だけど結局いつもいる職員の人に見つかって、『何逃げようとしてるんだ』と怒鳴られて、廊下を引きずられて個室に戻されました。その時も話さえ聞いてくれなかった」
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