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「児童相談所は牢獄」親の虐待で“一時保護”された13歳少年の悲痛…自立支援の実態を東京都に聞いた

まずは規則正しい生活で心身を整える

――保護した先で子供たちに、集団生活によって時間を縛ったスケジュールで過ごしてもらうのにはどういった意図があるのでしょうか。 家庭支援課長:生活リズムを整える目的が大きいです。保護される子供は生活リズムが崩れていたり、食事を十分とれていなかったりします。まずは規則正しい生活と食事を提供し、心身ともに整えてもらう意図があります。 ――集団生活に馴染めない子もいますか? 家庭支援課長:環境に溶け込めなかったり、1人の場面が少ないことで不調を訴える子も出てくることは事実です。馴染めない子供はケアしながらになります。 ――子供たちと関わる中で難しいと思う瞬間はありますか。 施設長:言語が、とにかく特殊で紋切り型の子が多いです。感情と言語が結びついていないところがあり、その感情の波に大人が振り回されてしまうことがすごくあると感じます。正常に会話ができているかどうかの判断が難しいです。

「トー横を忘れない証」とリストカット

――確かに感情の起伏が激しいイメージはあります。 施設長:例えば「トー横キッズ」も昔の非行少年・少女とは違って、対応が特殊になることがあります。ベースに虐待や家庭環境の問題があることは多いですが、ただ非行をするためにトー横に集まっているのではなく、「自分をわかってくれる場所」だと思っています。家庭よりもそこが自分の居場所という考えがなかなか変わらない。「トー横を忘れない証」と言ってリストカットをする少女もいるくらいです。 ――信仰に近い感じがしますね。 施設長:彼女たちには「自分ばかりこんな目に……」という考えが根底にあります。一番の理解者は親ではなく、トー横なのです。職員と出会って、「この人は私のことを面と向かって見てくれている」と感じられれば、自立につながるかもしれません。ただ、なかなか難しいなと思います。 ――難しいケースもある中で、保護された子供たちは、どんなゴールに向かって支援するのでしょう。 家庭支援課長:ゴールはその子によって違います。子供の意思もあるし、家庭環境もあるので全員家庭へ戻すべきだとは言い切れません。ただ、一番は家庭復帰。そこが目指すべき場所ではあると思います。
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保護者とどう関わっていくか
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