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「磯丸水産を買収した企業」が勢力を拡大し続ける理由。投資信託のような“分散力”が強みに

ブランドが分散されていても…

売上高の推移を見てくと2009年度から2013年度までは300億円台を推移していました。その後、2014年2月期に磯丸水産のSFPダイニングを子会社化し、磯丸水産の好調や他社M&Aもあって2016年2月期には売上高が1000億円を突破します。しかし2020/2期から2023/2期までの業績は以下の通りに推移しており、ブランドが分散されていてもコロナ禍では業績が悪化したようです。 【株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングス(2020/2期~2023/2期)】 売上収益:1393億円→744億円→783億円→1182億円 営業利益:33.8億円→▲141.8億円→76.3億円→50.8億円 グループ店舗数:1149店舗→1076店舗→1037店舗→1145店舗 業績悪化は主に和食・洋食レストランや磯丸水産を筆頭とする居酒屋事業が不調となったことに起因します。また、SC店比率も高いため、商業施設の休業や時短営業に影響されてしまったようです。 コロナ禍における飲食各社の業績を見ると、必需性の低いレストラン・酒場業態は業績が悪化した一方、ファストフード業態は好調に推移しました。クリエイトの業績悪化は、ファストフード業態を弱みとする同社の体制が現れたものといえるでしょう。

今後も“分散力”を活かして成長を目指す

以上のようにクリエイトは投資信託のような分散力で成長してきました。コロナ禍では業績が悪化したものの、消費活動は以前の水準に戻っており、2024/2期は売上高1430億円を見込んでいます。 そして今後はコロナ禍での「守り」の姿勢から「攻め」への転換を掲げており、様々なブランドを展開しながら新規出店や既存店の改装によって拡大を目指すようです。 ただし、分散投資の姿勢は継続しつつも利潤の確保を目的として、各ブランド内では商品数の絞り込みのコンセプト(専門性)の明確化を進めるとしています。M&Aにも積極的なため、今後どのようなブランドを取得するのか期待したいところです。 <TEXT/山口伸>
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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