競輪とは無縁のママチャリ女子が「プロになって初優勝を成し遂げるまで」の軌跡
数多いる競輪選手のルーツを探ると、「親族に選手がいた」という人や、「親が競輪ファンだった」など、幼いころから競輪が身近な存在だったというケースが多い。ところが、それまで競輪とは全く無縁の生活を送っていたにも関わらず選手としてデビューした、少々レアなルーツの持ち主が刈込奈那選手(千葉・120期)だ。
10月に初優勝を成し遂げ、今まさに上昇気流に乗っている彼女に、自転車競技を始めるきっかけとなった独特なエピソードや、デビューから一貫している「先行」へのこだわり、さらには今後の目標について話を聞いてみた。
高校生活は部活よりも勉強を優先するつもりだったという刈込選手。それまでママチャリしか乗ったことがなく、自転車競技がどんなことをするかも知らなかった彼女が自転車競技部に興味を持ったのは意外な理由だった。
「私、生き物の中でお魚が一番好きで、将来は獣医になって水族館で働きたかったんです。だから部活もそんなにやる気がなかったのですが、通っていた高校の中庭にお魚が泳いでいる池があって、自転車部がいつもその池の近くで練習していたんですよね。お魚のそばで練習したりご飯を食べている部員を見ていたら『いいな~』って思って、それで入部しちゃいました(笑)」
まさか競技内容よりも練習環境に魅力を感じて入部するケースもあるとは……。それはさておき、獣医になりたいと言っていた娘が突然、自転車競技を始めると言い出した時の両親の反応が気になるところだが。
「両親に話したら、危ないからヤメておいた方がいいよって言われたんです。たしかに、それまで自転車といったらママチャリしか乗ったことがないし、なんなら漕ぐのもすごく遅くて、歩いている人にメッチャ抜かされていたんですよ(笑)。でも、私が一度やると言ったら絶対にやる頑固者ということを両親は知っていたので、最終的には理解してくれました」
お魚好きが高じて、どんな競技なのかも知らずに飛び込んだ自転車部を3年間続けた後は競輪の道へ。自転車競技を続ける選択肢もあったのだが、それは1年生の時に部活の一環で参加したガールズサマーキャンプが大きく影響していた。
「部活の先輩に、いろんな人と知り合った方が強くなれるから、サマーキャンプは絶対に行った方がいいよって言われたので参加したんです。そこで出会った、全国の選手たちと戦いたいと思うようになり、競輪の道に進むことにしました。それと、高校2年生の頃から、今の師匠の江本博明さんにお世話になっていたのですが、日頃から『競輪選手は楽しいよ』って吹き込まれていたのもありますね(笑)」
自転車競技を始めた意外な理由
いろんな人と戦いたくて競輪の道へ
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。
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X(旧Twitter):@sagyosakurai
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