仕事

気弱な宅配便ドライバー「客の悪質クレームが怖すぎて…」やらかした“大失態”とその顛末

 宅配便の仕事をしていると、良くも悪くも、配達の先々でいろんな人に出会うといいます。最近では“置き配”も増えたようですが、それでも手渡しがまだまだ主流です。今回は、そんな配達先で恐怖体験に巻き込まれた配達員のエピソードです。
宅配便

画像はイメージです(以下同)

配達先で、ほぼ全裸で出てくる女性客も…

 地域密着型の宅配会社でドライバーをしている久本さん(仮名・26歳)。以前は、某大手宅配便のドライバーでしたが、多忙すぎて体調を崩したため、融通の効く今の会社に転職しました。  転職後しばらくは住宅街の担当でしたが、最近、配達エリアが変わり、雑居ビルが立ち並ぶ駅前がメインになった久本さん。 「以前の住宅街エリアは年配の方がほとんどで、通販商品の配達は意外と少なく、おまけに在宅率も高くて良かったのです。でも今度は、その真逆の駅前エリアの担当になりました。事務所や若い人が多くて、一気に配達数が増えたんです。 しかも、配達先にはいろんなタイプの人がいて、ほとんど全裸で荷物を受け取る女性や、顔中傷だらけの男性が出てきたり、驚きの連続でした」(久本さん、以下同)  けれども、前職に比べると全然許容範囲とのことで、久本さんは仕事に精を出したといいます。

言いがかり?「オイ、中身割れてるんだけど!」

 そんなある日、雑居ビルの3階に配達した時のことです。インターホンを何度か押しても応答はなく、不在票を投函しようとした時、熊みたいな体形のコワモテな男性が出てきました。 「その男性は、無造作に荷物を受け取るとその場で開封し始めました。そして『オイ、ちょっと待てよ、中身割れてるんだけど。え?どうしてくれんの?』と、にらみながら言ってきたんです! もう最高に恐怖の瞬間でした」  気の弱い久本さんは、目の前で熊のようなコワモテ客にすごまれ、とっさに財布から1万円札を取り出し、客に手渡してしまったというのです。 「お金を受け取った男性は、僕を押しやるように外に出してドアを閉めました。おおげさですが、一命を取り留めた気持ちでホッとしました。ただ、その後クルマに戻って冷静になると、さっきの行動が致命的であることに気づきました。ああいう時は、マニュアル通りに保険対応の説明が必須だったのです」  会社の規定では、破損した商品をいったん持ち帰り、社内で書類を作成して保険会社に申請するという手順でした。久本さんは、申請どころか事故品を引き取ることもせず、何から何まで論外な行動をとってしまったわけです。
次のページ
上司に打ち明けたら、予想外の言葉が……
1
2
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ