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一般予備費が“1兆円”に。震災復興に強い「大成建設と鹿島建設」の動向に注目したい理由

 中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。  政府は1月19日の閣議にて、能登半島地震を「非常災害」に指定しました。港湾などの復旧工事を、自治体からの要請に基づいて国や都道府県が代行できるようになります。道路や河川は指定がなくても国が代行できましたが、その範囲が広がることになりました。  政府は2024年度予算案の修正を決定しており、「一般予備費」を5000億円追加して1兆円へと倍増しました。災害復旧では国の予備費が使われます。月内にも1000億円超を支出するとみられています。
大成建設

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被災地の復興に不可欠な大手ゼネコン

 資材や人材、エネルギー不足になりがちな被災地の復興には、東日本大震災など過去の災害に対応したノウハウが活かされます。災害復旧も基本的には入札による事業者の選定が行われますが、特に初期の土木建築においては全国規模で展開している大手ゼネコンが請け負うのが一般的です。  地震災害の場合、復旧事業としてはがれきの撤去、壊れた道路や橋、崩れた山の斜面など、土木工事を先行して進めます。震災復興の土木に強いゼネコンはどこなのでしょうか。東日本大震災復興時の大手ゼネコン4社の国内土木事業売上高から、そのヒントに迫ります。
国内土木事業事業売上高

国内土木事業事業売上高 ※各社決算短信より筆者作成

がれきを迅速に再利用する技術を開発した「大成建設」

 2011年3月期と2012年3月期の売上の伸び率に注目します。  2012年3月期の国内土木事業の売上高が1804億円、前期比9.7%増で伸び率トップとなったのが大成建設。次いで鹿島建設が2840億円で3.7%の増加でした。大林組は3.3%減で2440億円、清水建設は6.6%減の2043億円でした。  大成建設は気仙沼ブロックの災害廃棄物処理業務を担当しています。このとき、がれきの迅速な処理と資源化を行う技術も開発しました。  コンクリート材料となる砂や砂利の代わりに、破砕したコンクリートがれきに水やセメントを混ぜ、土木構造物などに適用するというもの。物資や資源が少ない被災地において、スムーズに復旧作業が行えるノウハウを確立したのです。
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東日本大震災で東北エリアの受注高が4倍になった「鹿島建設」
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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