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「明治・ロッテ」とグリコで明暗。バレンタインでチョコレートの売上に“差が出る”理由

グリコのチョコレートはバレンタイン向きではない?

 ロッテは直近でチョコレート単体の売上を公表していませんが、2016年度の売上高が1101億円でした。1000億円前後で推移しているものと予想できます。  グリコは2022年度のチョコレートの売上高が、前年度比1.9%減の331億円でした。2023年度は同2.2%増の338億円を予想しています。グリコの上半期における進捗率は47.9%。グリコの決算月は12月で、上半期の数字はすでにバレンタインが含まれています。  それでも下期に売上が偏っているのは、商品構成によるものでしょう。グリコのチョコレートはポッキーやカプリコ、GABAなど、あまりバレンタイン向きではないように見えます。明治やロッテは板チョコを扱っており、手作り用として購入する消費者が多くいるのです。

バレンタインに対する価値観が世代間で大きく異なる

 バレンタインに対する消費者の意識も大きく変化しています。Z世代の特徴として挙げられるのが、手作り志向だということ。アルファブルの調査(「Z世代の意識調査」)によると、Z世代がバレンタインデーにもらって嬉しいプレゼントのトップに挙げたのが、「手作りのチョコレート」。全体の55%を占めていました。  その一方で、ミレニアル世代のトップは「市販のチョコレート」で36%。「手作りチョコレート」は32%でした。Z世代とは価値観が大きく異なります。  ミレニアル世代とは、1980年代前半から1990年代半ばまでに生まれた人です。ミレニアル世代はバブル景気とバブル崩壊の境目を経験しており、理想主義的であることが知られています。ブランド志向が強く、知名度や認知度の高さを重視するのです。ここでの「市販のチョコレート」という回答は、百貨店や専門店で販売している高級チョコレートを指しているのでしょう。  Z世代は1990年代後半から2010年ごろに生まれた人。この世代は不景気しか知らず、現実的であることが知られています。身の丈、コストパフォーマンスを重視するため、原材料を安く調達して仕上げる「手作りチョコレート」に価値を見出しているのかもしれません。
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“架空のキャラクター”に贈る文化が定着
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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