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タマホームとアイダ設計で分かれた明暗。「注文住宅」が“激減”しても好調を維持できる理由

「10区画未満の分譲地開発」に乗り出す

 タマホームは2018年から分譲住宅の強化に努めています。  建売住宅は立地が命。都市部にアクセスしやすい沿線の駅近物件に人気が集中します。土地の仕入を行う営業マンは、あの手この手で優良物件を仕入れます。  タマホームはこの仕入れを強化しました。10区画未満の狭小地を積極的に購入するようになったのです。これによって資金回転率を高めた上、販売棟数を伸ばすことができるようになりました。それまでのタマホームの建売住宅は郊外の大型分譲が中心で、子育て世代を中心に販売していました。その方針を改めたのです。  タマホームにおいて分譲住宅は、注文住宅の販売減による減収を押しとどめる主要因になっています。

注文住宅事業が赤字のアイダ設計

 ローコスト住宅で苦戦しているのが、アイダ設計。555万円で家が建てられるという美川憲一さんのテレビCMが、記憶に残っている人が多いかもしれません。2010年ごろから宣伝に力を入れ、分かりやすい低価格路線を押し出したローコスト住宅の代表的な会社の一つです。  アイダ設計の2024年3月期上半期の売上高は、前年同期間比11.7%減の259億3900万円、1億6400万円の営業利益(前年同期間は4億3400万円の営業損失)でした。赤字から黒字浮上していますが、注文住宅事業は依然として赤字のままです。  注文住宅の2024年3月期上半期の売上高は、前年同期間より2割低い109億4500万円、5億2100万円のセグメント損失(同4億7600万円のセグメント損失)を計上しています。今期は減収となり、赤字幅は拡大しました。
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「分かりやすい価格」だけでは優位性を保てない時代に
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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