「冷房代を節約するのは危険」一級建築士が警告する“深刻なリスク”
こんにちは、一級建築士の八納啓創と申します。会社員の方から上場企業の経営者宅まで、住む人が幸せになる家をテーマにこれまで120件の家づくりの設計に携わってきました。 『日刊SPA!』では、これまでの経験を生かし、「これからの時代に必要な住まいの姿」をテーマにお伝えしていきます。
2023年6月に電力会社が軒並み電気代を値上げしたことで、新型コロナが流行する前と比べると電気代がおよそ2倍近くになりました。これにより多くの人が、家計を圧迫されて苦しんでいるかと思われます。
今後、電気代はどのようになっていくのでしょうか? 為替などの関係で円安が続いている影響もあり、海外から輸入する燃料代自体もどんどん値上がりしています。そういったことからも、電気代をはじめ、燃料代はますます高騰することも予想されます。
さて、光熱費削減に関して、多くの人が見落としがちな盲点があります。ここからは、光熱費削減を賢く行いながら、生活水準を下げずに快適な住環境を維持する方法を紹介していきます。
TVやインターネットでは、光熱費の削減に一番つながる方法として「冷房の節約」を紹介しています。もちろん、光熱費削減につながりますが、冷房を節約する前に知っておいてもらいたいことがあります。
それは、一戸当たりの年間エネルギー消費量からみると、冷房代はその内訳のたった2%程度しかないという事実。
資源エネルギー庁の調査によると、暖房の26.7%に比べて冷房のエネルギー消費量は2.2%。なんと暖房の12分の1程度しかありません。
「冷房も結構使っているけど、どうして暖房とこれだけ差があるの?」と不思議に思う人もいるかもしれません。
実は理由は明確です。暖房の時は、外気温が5度で20度設定にするとその差は15度。冷房の時は、外気温が30度で25度設定にすると、その差は5度あります。これらに加えて、例えば東京であれば暖房を使う期間は、11月~3月の5か月ほどでしょうか。対して冷房は、7月~9月の約3か月程度と短いですよね。
このように、冷房のエネルギー消費量は、暖房に比べて非常に少なく思えるでしょう。そして、この“意外とコストのかからない”冷房を節約してしまうすることで大きな問題が2つ起こり得るのです。
高すぎる電気代にどう向き合うか
「冷房と暖房」のエネルギー消費量はこんなに違う
1970年、神戸市生まれ。一級建築士、株式会社G proportion アーキテクツ代表取締役。「地球と人にやさしい建築を世界に」をテーマに、デザイン性、機能性、省エネ性や空間が人に与える心理的影響をまとめた空間心理学を組み込みながら設計活動を行っている。これまで120件の家や幼保園、福祉施設などの設計に携わってきた。クライアントには、上場会社の経営者やベストセラー作家をはじめ「住む人が幸せになる家」のコンセプトに共感する人が集い、全国で家づくりを展開中
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