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堀田茜の“揺れ方”が気になる理由。「股をうちつけた名場面」も忘れられない

堀田茜を語る上で欠かせない『イッテQ』

揺れと平衡感覚。堀田茜を読み解く必須ワードだ。これは彼女の原点でもある。この感覚を磨いた場所がちゃんとあるからだ。アジア・アクションの代表格クンフー映画では、切磋琢磨修行に励む主人公を導く老師(師匠)が必ずいるように、堀田にも師匠がいる。 俳優(モデル)である以前に、タレントでもある彼女のことを語る上で欠かせないのが、もちろん『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)。立教大学卒業直後の2015年に初登場して以来、いわゆる出川ガールズとして身体を張ってきた。その出川哲朗の還暦企画「出川女子会INベトナム」(2024年2月4日放送回)のラストで出川を前に堀田はこう言った。 「芸能界で唯一にして最大の師匠です」 泥濘に何度も顔を浸し、泥まみれになりながらバラエティ番組の洗礼を受けてきた堀田が磨いたリアクション芸は、出川ガールズの中でも屈指の芸当を誇る。実に9年間の修行で出川直伝の伝統芸を受け継いだ堀田だが、その成果が最初に試された瞬間が、バラエティ史の語り種になっている。

“伝説の平均台作戦”として記憶されることに

忘れもしない名場面は、2018年放送の「デヴィ探検隊with出川ガールズinパラオ」にある。デヴィ夫人を隊長とし、副隊長の出川、隊員の河北麻友子、堀田、谷まりあの出川ガールズ一行がジャングルの奥地へ。足場が悪く、苦戦の連続だが、中でも「激ムズ川渡り」がすごかった。 目的地まではあとすこし。川を渡るために、対岸へ丸太をわたす。驚異の脚力とバイタリティで難なくわたってしまうデヴィ夫人。続く堀田が見せてくれた。丸太はきしみ、揺れる。 “平均台作戦”と名付けられ、両腕を広げて、バランスをとりながらゆっくり歩を進める。ゆらり、ふらり……。と思ったらば、バランスを崩した堀田が、ズリっ。股をうちつけそのままぐるり。 逆さま状態で宙吊りになりながらも何とか両足で丸太にぶら下がる。そして川へ綺麗にドボン。「我々は今素晴らしいものを見せてもらった」というナレーション通り、流れるようなアクションに息を呑んだ。出川ガールズ3年だった堀田は以降、“伝説の平均台作戦”の名誉ある失敗者として記憶されることになる。
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本質的意味でのアクション俳優ではないか
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コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションでR&B部門を立ち上げ、企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆。最近では解説番組出演の他、ドラマの脚本を書いている。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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