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カービィグッズに“300万円以上使った”マニアを直撃。カービィが「愛され続ける理由」を尋ねてみた

多くの人が満足できる『星のカービィ3』

夢川閔巳

歴代の作品ももちろん網羅している

カービィを知り尽くす夢川氏だが、特に好きな作品はあるのだろうか。 「1998年に発売された『星のカービィ3』ですね。コンパクトにまとまっていてわかりやすいし、手描きのような温もりのあるグラフィックも好きですね。そして、ラスボスが“考察の余地しかない”描かれ方をしており、その部分を考えるのも楽しいです。ライトなゲーマーからヘビーゲーマーまで、多くの人が満足できる作品だと思います

『星のカービィ ディスカバリー』はシリーズ最高傑作のひとつ

これからカービィに初挑戦してみたい人にオススメの作品は、『星のカービィ ディスカバリー』(2022年発売)だそうだ。 「カービィの生みの親である桜井政博さんが退いたあと、制作の中心になった熊崎信也さんが手掛けている作品です。熊崎さんは“中二病”っぽい方でして、桜井さん時代は『コレクション』や『森を抜けて』と比較的シンプルだったBGMの曲名が、『星(ほし)統(す)べる頂点』や『いつしか双星はロッシュ限界へ』と、見ての通り尖ったテイストになっているんです。同時に曲のテイストもかなり鋭利に変わりました」 補足すると、「ロッシュ限界」は、天体同士が破壊されずに極限まで接近できる距離のこと。確かに、“中二病”と称される理由もわからなくはない。また、“考察欲”を喚起する伏線にも繋がっているらしい。 「同作でカービィと一緒に旅をするのがエフィリンというキャラクター。実は、このエフィリンはラスボスの片割れなんですよ。つまり『ロッシュ限界』にも、『近づきすぎず、一定の距離を保つ必要がある』という暗喩を感じてしまうんです」 楽曲だけでなくストーリーも、シリーズ最高傑作のひとつだと夢川氏は太鼓判を押す。 「謎の渦に吸い込まれたカービィが、広大な文明と自然が融合した『新世界』に迷い込む設定になっています。そこで出会った謎の生物エフィリンと共に、囚われてしまったワドルディ達を助ける旅をしてゆくのですが……ラスボスとエフィリンには非常に深い関係があって。その先はネタバレになるので、ゲームで楽しんでみてください!」
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“星のカービィを蘇らせた男”熊崎氏
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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