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ニューバランスは「買ってはいけない」「買うべき」が紙一重。後悔しないための見極め方とは

おすすめできない低価格NB「373」

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「373」。8800円。写真はアマゾンより

残念ながら本当にほめるところが一つもないモデルが「373」です。見た目は数万円のNBとまったく変わらないのですが、「足のことを考える」NBのよさが一つもありません。スーパーのワゴンで3000円で叩き売られているスニーカーと同レベル。 というのも、NBのよさは「足の形なり」にバナナみたいにぐにゃっと曲がっている構造ゆえなのですが、373は何の工夫もない直線の木型。「つくりやすいけど、履きづらい」靴の典型なのです。スエードに見える部分も合皮です。合皮にも優劣があって、天然革と見分けもつかず耐久力も革以上、というものも増えてますが、残念ながらただの「フェルト」や「ビニール」もまだまだあります。373の素材は後者に近く、汚れも全くとれません。スムースレザー調のものは2年も経たずにバキバキに加水分解します。ソールもなんの工夫もないスポンジ。いや、もう本当に「スポンジ」だけとしか言いようがない。カカト周りに補強もないので足のねじれのまま靴もねじれます。 その割に定価が8800円は高すぎます。実勢価格は6000円台で、思わず手を出したくなる値段帯ですが、やめておきましょう。NBと「NBのそっくりさん」くらいには差があります。ちなみに子供靴にも「373」がありますが、こちらはしっかりした作りなのでご安心ください。 NBは良くも悪くもどれも見た目がそっくりで、差がわかりにくい。人気があるぶん、たいていの靴屋で売られているので、店員に聞いても「どれも履きやすいですよ」としか言われません。後悔したくなければ少し面倒でもNBの直営店でとことん聞いてみてください。テクノロジーを駆使したモデルや、低価格でも抜かりのないつくり、NBの代名詞であるフィット第一を具現化したウィズ(幅)展開など、情報量がまるで違います。気に入ったモデルがあれば型番さえ控えておいて、ネットで気軽に買うこともできます。決して安いメーカーではないので、後悔しない1足を見つけてください。
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ
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