素人がF1ドライバーの練習マシンに乗ってみた
赤坂駅から徒歩5分、閑静なオフィス街の一室に、日本初、世界にもまだ5台という最新のレーシングシミュレーターを体験できるスペース「Tokyo Virtual Circuit」がある。モーターレーシングの本場イギリスではフォーミュラ1などのトップ選手が実践練習用として利用するシミュレーターで、世界70箇所の以上のサーキット、フォーミュラGP2など最高峰のマシンでの走行を体験できるそうだ。しかも、免許がなくてもOK。これなら誰でもできるだろう……そんな気軽な気持ちで行ってみた。
【画像】はこちら⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=201212
「レーシンググローブ持ってきた?」
突然、後方から男性の声が聞こえた。(レーシンググローブってなんだ……)キョトンとした記者の反応を見るなり「ナメてますね~。クルマとかレースとか興味ないでしょう?」と、完全によそ者扱いのまなざし。たしかに記者は、たま~にドライブする程度の運転技術しかなく、背筋が凍る。そんなに大掛かりなのか。
あとから知ったのだが、その声の主は1998年5月3日、富士スピードウェイで行なわれた全日本GT選手権で炎に包まれる大クラッシュから生還した、元日本のトップレーシングドライバー砂子塾長本人だった。全国に塾生100名を抱えるドライビング塾「砂子塾」のトップだ。お、恐れ多い。
というわけで、ビビリながらもいざ挑戦! 砂子塾長による、約30分のマンツーマンレッスンが始まる。シミュレーターのサイズは、マシン等身大の大きさ。男性が乗り込むと余計なスペースはなく、空気抵抗を避けるため、視界も限りなく低く設定されている。乗ったときの視界はF1中継で流れる車載カメラの視界そのままだ。時速200マイル超え、ブレーキは手と背中で全身を支え、足の裏に力一杯こめないと効かない。後方からは「コーナー手前、残り100メートルの看板!それが見えたら、一気にブレーキ踏み込む!そしたら2速だ!」と(鬼軍曹と自分の中であだ名をつけた)塾長の(罵声、いや)指導。おそらくクルマファンにはたまらないであろう緊張感が室内をいっぱいにしている。
30分の走行が終わったころには、額、背中、上半身が汗だくになっていた。絶対に着替えは持っていった方がいい。
終わったあとはデータロガーで自分の走行を確認することができる。物理演算エンジンがリアルタイムで走行状態をモニタリングしており、スピード、エンジン回転、ブレーキ踏力、ステアリングアングル、タイヤ温度上昇など、自分の走りを科学してくれる。ドライビングのすべてを検証・解析し、ドライバーへフィードバックし、完璧な走りの実現をサポートするのだ。
「Tokyo Virtual Circuit」には、プロのレーサーはもちろん、30〜50代のレースファンが多く集まる。ここで限りなくホンモノに近いレース体験をしたあとにF1中継を見ると、まったく見方が変わり、より一層プロの技術力の高さに気づき、レースの奥深さを知ることができるそうだ。レース好きの仲間、レース好きのカップルにぜひおすすめしたい。…が、記者のように完全素人で行くと、痛い目を見るので、鬼軍曹にしごかれてかっこ悪いところを見せたくなければ多少の勉強は必要であることは強調しておきたい。
【コース案内】
■体験コース/1名様 5000円(所要時間30分)
用意するもの/レーシンググローブ(1000円レンタルあり)
■通常トレーニングコース/30分 10000円
用意するもの/レーシンググローブ、レーシングシューズ
予約、お問い合わせはメールのみで受け付けています
予約メールアドレス/sunako@yukes.co.jp
【東京 Virtual サーキット】
〒107-0052 港区赤坂6-6-19メゾン・ド・ヴィレ1F
TEL&FAX:03-6277-6354
営業時間:10:00~20:00 ( 年中無休 )
HP:http://tokyovirtualcircuit.jp/
取材・文/岡 徳之 撮影/石川真魚
スペースに入るなりまず目に入ってきたのは、レーサーの視界すべてをカバーする180度の巨大スクリーン。前方から迫ってくる景観が左右に駆け抜けていくため、レースに集中し始めると自分が本当にコース上にいる気にさせられる。所詮はシミュレーター、てっきりゲーセンのレーシングゲームに毛が生えたぐらいだろう、というテンションでいた記者はその迫力と、室内の熱気に圧倒されてしまった。
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