防災グッズで見過ごされている「靴」。生き残るために“最後に頼りになる”防災スニーカー3選
こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
南海トラフ地震はいつどこで起こるかわかりません。備えとして、食料を備蓄し、防災グッズを買い揃えている家庭も多いでしょう。しかし、意外と見過ごされているのが「靴」です。過去の震災の教訓から、生死を分けたのは、まず「走れる靴」でした。そして次に、「紐をいちいち結ばなくていい靴」です。
なにより大事なのは、ダッシュで走れることです。津波が発生したときに、数秒の差が生死を分かちます。車ですらあてになりません。過去の常識では自衛隊で使用されているような編み上げブーツがよしとされていましたが、一般人には重くて走れず、そもそも紐を結んでる間に波にさらわれてしまいます。
そこで、パニック時にも、さっと履けて、どんな状況下でも安全に走れるものでありながら、災害用としてタンスにしまっておくのではなく、日常でもちゃんと使える靴を3足紹介します。
まずはHOKAのトランスポート。アウトドアを想定した設計で、日常でも使えるデザインで、店頭でもめちゃくちゃ人気があります。プラス6000円でゴアテックス仕様もありますが、ノーマルでも軽い雨ならはじきます。ごついデザインですが、片足300グラムと普通のランニングシューズと変わりません。平均的な革靴が片足500グラム前後あるので、走りやすさ・歩きやすさは想像に難くないでしょう。底は登山靴にも使われるビブラムソール、未舗装でもアスファルトでも疲れないクッション力を備えています。
さらにワンタッチで脱着できるコード式のシューレース。どんなに慌てていても、目の前がすでにがれきの山でも、履いて逃げることができます。アッパーも軍隊でよく使われる「コーデュラナイロン」なので、ガラスが降ってきても大丈夫。これを履いているから安心という信頼感は大きく、パニックのなかでも心理的に落ち着いて行動できる確率がぐんと上がるはずです。
次に、サロモンのX-アドベンチャーゴアテックス。山や未舗装道路を走るトレイルランニング用のシューズなので、足場が不安定なほど実力を発揮します。地震・津波で一刻を争う避難の場面で、力強いのが各メーカーから発売されている、これらのトレランシューズです。登山靴より軽く、ランニングシューズよりはるかに滑らない。サロモンはどちらかといえばファッションシューズとして注目されていますが、超実用シューズです。そして、その頂点とも言えるのがこちら。地面が岩だろうがガレキだろうが関係ありません。未舗装の道でつま先をぶつけても血豆ができないように、トウの先端までしっかりラバーで補強されているので、いざというときも障害物を蹴り飛ばしながら走れます。
こちらも靴紐ではなく、「クイックレース」というサロモン独自のワンタッチのコード仕様。レース中や雪の中を走っているときに靴紐がほどけてもすぐにアジャストでき、災害中に万一手や指先を負傷しても、これなら問題ありません。
実はこの「クイックレース」、その評判の高さから公式から単品でも880円で発売されています。革靴のように極端に小さい紐穴でなければ、ほとんどのスニーカーに付け替えが可能。YouTubeなどでも「付け替えてみた」動画がありますので、セルフでも簡単に移植ができます。非常用の裏ワザとして覚えておいて損はありません。
「履ける、歩ける」だけでは助からない
HOKA「トランスポート」アウトドアから日常まで守る安心の防災シューズ
サロモン「X-アドベンチャーゴアテックス」どんな地形でも逃げ切る究極の防災性能
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こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」
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