アイドルグループ活動で燃え尽きたと実感
——アイドル時代に印象に残っている仕事はありますか?
石田:印象に残っているのは、やっぱり握手会ですね。メンバー全員卒業と共にアイドルとして燃え尽きたと思いました。アイドルグループを卒業した後、映画や舞台など他のお仕事も経験させていただきましたが、私の芸能生活の中で特に強く印象に残っているのはアイドルグループ活動でした。その活動で燃え尽きたと実感したからこそ、芸能活動を終える決断をしました。
——そして一旦、芸能界を引退するんですが、その間は何をしていたんですか?
石田:飲食店の店員や服飾関係や受付嬢をしていました。
——芸能界に残り女優やモデルで活躍したい意志はありませんでしたか?
石田:人生を通して、特に「こうなりたい」という強い願望を持っていなかったんです。アイドルやセクシー女優のお仕事も、求められていることに対して自分で意味を見出せたらやるというスタンスで決めています。何かを始める時は、やるべきことが常にいま来ていると思うようにしてるので、一度決めたらやり切ることが大切だといつも感じています。
——アイドル活動から、普通の飲食店や服飾関係の仕事は大変じゃなかったですか?
石田:アイドルも飲食店も、どのお仕事も大変だと思っています。芸能界にいた時は芸能人の多い学校だったんです。大学で一般の方と交流を持つことで、また新たな視点を得たんです。芸能界を離れていたことで、知らない価値観を持った世界が待っていましたし、いろんな世界に触れることで、考え方の幅が広がりました。
——つい最近まで一般の会社で働いていたんですか?
石田:そうです。
——そこからセクシー女優のオファーはどういう流れですか?
石田:知人からの紹介です。
——いきなりセクシー女優のお誘いを受けて「えっ!?」って思いませんでしたか?
石田:何事も受け入れる態勢ができているので、あまり驚きませんでした(笑)。セクシー女優の存在自体は知っていましたが、自分がその世界に興味がなかったので、「私が?」という驚きはありましたけど。
——もちろん知人だから「石田佳蓮」ということを知っていてオファーがあったんですよね?
石田:そうです。「元アイドルの石田佳蓮でデビューしないか」とは言われなくて、「セクシー女優になることに興味はある?」って感じで言われたんです。今回はセクシー女優ですけど、やるべきことがいま来たのかという感じでしたね。お話をいただいたまま行動するだけでは、自分の意思が感じられないので、常に自分なりの目標を設定し、その目標を達成するために行動する生き方を続けています。
——なるほど。
石田:自分の人生で深く刻まれているのがアイドルだったんです。そのアイドルは「清楚」であるべきだと考えていたんですよ。「清楚」イコール「性的なことは子どを作るためにする行為」という意味で捉えていたんです。でも、それはもしかしたら、私の思い込みで、違う価値観を持ってもいいんじゃないかと思ったんです。
人生が大きく変わる時が来たんじゃないか「全員との連絡先を絶って…」
——深い話になってきました。
石田:それで今回、オファーをいただき、性について考えていろいろとネット検索をしていたら、女性は子どもを産む時に痛い思いをする代わりに、すごく感じる身体を神様からもらっているという説を見て、「え!」って衝撃を受けました。これまでの私の考えは間違っていたかもしれないと思い、感じることは罪じゃないんだと知り、感じる身体になりたくなりました。そのためには、とことん追求できるセクシー女優で性の解放をしてみたくなったんです。
——そこまで考えましたか。
石田:幼少期から恥ずかしがり屋だったので、性に関することはプライベートでも話したことがなく、考えもしなかったんです。でも、そこを逆に見せることで、新たな感覚が得られるんじゃないかと思い、人生が大きく変わる時が来たんじゃないかと感じたんです。アイドルとして活動していた時は、自分の本音よりも、自分がどう見られるかを強く意識し、周りの方からどう評価されるかを強く意識していたので、表面的な自分が染み付いていたんです。例えば笑顔も自然なものではなく、決まった笑顔をしていたことが多かったんです。いま自分のテーマとしては殻を破りたい思いが強く、最も大切にしていることが「正直な自分を生きること」なので、今回のデビューを決意しました。
——オファーから2年間もデビューするかどうか考えたそうですね。
石田:確かに2年という時間が長いと言われれば長いのかもしれません。私自身、セクシ一女優のお仕事が、必ずしも全員が喜ぶお仕事ではないと思っていて、できる限り周りの方々に配慮しようとしました。その結果、まずは全ての知り合いの方との連絡先を断ちました。その上で連絡先を断った後に、自分がどんな気持ちになるのかを体験してみたかったんです。また、初めてお会いする方と性行為をすることができるかどうかを考えたんです。
——そこまで覚悟を決めていたんですか。
石田:お仕事になったら、どんな気持ちであろうと必ずやり切るということを決めていたので、本当にできるのかなって考える時間が必要でした。それほど覚悟が必要なお仕事だという感覚がありました。
——知り合いというのは芸能関係者ですか?
石田:いえ、全員です。
——とはいえ、知り合いからは石田さんに連絡したいですよね?
石田:そう思っていただけるのは、私としても非常に嬉しいですけど、例えば1人だけ連絡先を残しておくと、その人は私のために周りに嘘をつかなければならないような負担をかけてしまうこともあるのかなと思ったんです。私がセクシー女優になることで、誰かに重荷を背負わせたくなかったので、全員との連絡をきっぱりと断つことが最善だと思いました。