ライフ

凍結した路面で“あおり運転”してきたSUVに天罰。パトカーと救急車、レッカー車が来る事態に…

「早く道を譲れ」と言わんばかりに近づいてくるSUV

トンネル「みぞれ混じりの雪が降った次の日は、道路が凍ってしまいます」  兼近健人さん(仮名・40代)は、アイスバーンで運転することが多いため、スタッドレスタイヤにしている。とはいえ、通勤時間帯は気温も低く、路面が濡れているだけなのか凍っているのか見分けがつかない状況だという。  通勤ルートは山間部を通る片道一車線。雪で見づらい場所もあるが、センターラインは黄色で追い越し禁止区域だそうだ。 「道の両側には田んぼがあって、冬になるととくに滑りやすくなります。そのため、私も前を走る車も速度を落として慎重に走っていました」  速度計を見ると、時速30キロほどで走っていたようだ。それでも、ときどきタイヤがジャリジャリと音を立て、滑りやすくなっていた。そんな中、兼近さんは、バックミラーに映る1台の車が気になっていた。 「信号で停車中に、遠くから猛スピードで近づいてくるSUVが見えました。ライトが不気味に点滅していて、まるで『早く道を譲れ』と言わんばかり……。私は思わずため息をつきました」

突然上がった不自然な“雪しぶき”

 兼近さんは「こんな道で飛ばすなんて正気?そのスピードで赤信号止まれるの?」と思った。  信号が青に変わり、その車はさらに距離を詰めてきた。そして、兼近さんの車を抜き去ったという。 「雪でタイヤが取られたら事故になると思って、私は緊張で手に汗をかきながらハンドルを握りしめました」  やがて、前を走っていた車も我慢ができなかったのか、追い越し禁止区間にもかかわらず、無理やり追い越そうとしていたようだ。  兼近さんが「こんな運転してたら、いずれ何かが起こるだろうな……」と思った矢先だった。前方で不自然な雪しぶきが上がったという。 「SUVが操作不能になり、路肩の雪に突っ込んでいました。そしてスリップしたまま完全にコントロールを失い、田んぼの中に滑り落ちていったんです」  驚いた兼近さんは、車を止めて様子を見に行くことに。幸いにも運転手に怪我はなかったようだ。しかし、車は雪に埋もれ動けなくなっていたのだとか。 「運転手は窓を開けて何やら怒鳴っていましたが、『はっきり言って“自業自得”でしょう!』としか言いようがありません」  事故の原因は、あおられていた車が後部に接触した際に、SUVが無理なブレーキをかけたためだった。ぶつけられた車の運転手にも怪我はなかったが、後部が少しへこんでいたという。  しばらくして警察のパトカーと救急車、レッカー車が到着。兼近さんは、事故前のSUVの状況を警察官に説明し、現場を後にした。 <取材・文/chimi86>
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
1
2
おすすめ記事
【関連キーワードから記事を探す】