転職や就職、面接で失敗しない「“アンダー1万5000円”の高コスパなフォーマル&ビジネス用革靴」3選
こんにちは、シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)です。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
転職が活発になる時期です。また就職活動が始まるのでそろそろ準備をしたいという大学生もいるでしょう。その際の靴の選び方で、つまさきはストレートチップに限るとか、プレーントウは失礼といった謎のルールを用いだす人がいます。大ウソです。誰が書いたかわからないネット記事は信用しないようにしましょう。
もちろんローファーは紐靴ではないので、おすすめしません。しかし黒できちんと光っている紐つきの靴であれば問題なし。たとえ高価なブランド靴であっても、薄汚れていて、カカトが削れているほうがよほど悪印象です。修理屋で30分もあればヒールを直して磨いてくれるので、どんどん利用しましょう。問題は、磨けて直せる素材かどうかということです。
今回は転職や就職はもちろん、冠婚葬祭にも強い、1万5000円以下で買えるコスパ抜群の靴を3足ピックアップします。
まずはおなじみ、リーガルから「ケンフォード・プレーントウ」。 過去にお世話になった方も多いでしょう。リーガルの廉価版としての位置づけですが、定価は1万4300円。ひと昔前のケンフォードといえば、重くて硬くて痛いという印象でした。本当に重かった。学生ローファーのような合成ゴムで、減るのも意外に早かった。
しかし、現在は底がEVAという発泡スポンジに変わり、劇的に軽くなりました。あまりにも柔らかすぎる底の靴はかえって疲れるものですが、ほどよい硬さで疲れることはまずありません。カカトが削れても、リペアは簡単です。アッパーはガラスと呼ばれる樹脂加工が施された牛革ですが、よほどの大雨でもないかぎり、水にも汚れにも強い。こちらもひと昔前とちがい、履きならす必要がないほどソフト。もちろん磨けば光ります。
安さの理由は、セメント式という簡易的な製法で、本体と底は縫われていません。生産もアジア製です。現代では接着剤も進化しているので、EVAの底だとまずはがれることはないでしょう。かなりボリュームのある木型なので、体重があって締め付け感が苦手な方でも大丈夫です。
定価は1万4300円。ABCマートに行けば必ず売っている、とにかく息の長いシリーズです。名前の通り、滑りません。底のラバー部分に亜鉛を針状に結晶化させた特殊素材が配合されています。素材そのものに練りこまれているので、表面が減ったところでグリップ力が変わらないところがいぶし銀です。
このモデルも磨けば光る天然革に、発泡スポンジ底。正直、嗜好品でもない限り、今の時代に「重い靴」のメリットはなにもありません。軽いほうがいいに決まっています。ただ、軽さを狙うあまりに底の滑り止めを省いてしまうメーカーも多いので注意が必要です。このシリーズは滑らないだけではなく、本体が本格防水仕様で、台風でもない限りはとにかく悪天候に強い。筆者は20年以上前からこのシリーズを観察していますが、まちがいなく現行モデルが最高峰でしょう。ABCマートの革靴コーナーでは2足目半額セールもやっているので、対象であればストレートチップとプレーントウをそろえるのが賢いです。
進化するケンフォード。昔の「重い・硬い」から快適シューズへ
軽さ・耐久性・防滑性の完璧なバランス。ホーキンス「防水・防滑 ストレートチップ」
イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』
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