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青木さやかさんが明かす、長年疎遠だった母との和解「父の死で後悔したことを、繰り返したくなかった」

迷惑をかけた中でも母には謝りたかった

その当時の境地を、こう振り返る。 「私自身、人生の転機にあったことが大きいと思います。母が入院する前に私自身、肺がんを患った。死の可能性が視野に入ったとき、今まで迷惑をかけてきた方々に謝りたくなったんですね。その中でも、一番謝罪したかったのが母親でした。その2年前に、父親を看取った経験も大きい。父とは決して仲が悪くはありませんでしたが、最後の会話はけんかに近く、そのまま別れてしまいました。父の死後、そのことをすごく後悔していたので、繰り返したくないという思いが強くありました」 母親が亡くなるまでの約3か月間、青木さんは週に一度車に乗って、東京から名古屋の病院に通った。運転の最中は、病院でどう母に話しかけるかを考え、稽古を繰り返した。病床で「ごめんなさい、私は、今まで、いい子じゃなくて」と話しかけると、母親は「何言ってるの、さやかは誰よりも優しいでしょう」と青木さんに答えた。 「母は私の活躍を自慢げにホスピスの人たちに話し、私が病室を訪れる予定日はカレンダーに丸をつけていた。決して一直線ではなく、階段を2段上がっては1段下がるような、ジグザグとした苦しい日々でしたが、死後は母との距離が縮まっている感覚もある。たとえ死後でも親と『仲直り』はできると思っています」

関係を保留することに意味があるときもある

「家族じまい」という決断は、誰もが簡単にできることではない。グレーゾーンの親子関係に悩む人々にかける言葉はあるのか、最後に聞いた。 「人さまの親子関係に関して、私が何か申し上げるというのはおこがましい。ただ、関係を保留するのは決断の先延ばしではなく、『前向きなグレーゾーン』という見方もできると思います。最終的には、自分自身が一番楽になる方法を見つけてほしいです」 【タレント・女優 青木さやか】 1973年生まれ、愛知県出身。フリーアナウンサーを経て、芸人に。現在は中学生の娘を育てつつ、動物保護活動にも力を注ぐ 取材・文/週刊SPA!編集部
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