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都内のラブホテル支配人が“のぞき被害”について語る。「『浴室の窓に人影が映っている』と連絡があって…」

ラブホテルでのぞき見はあるのかー。室内には盗聴器や盗撮のカメラが設置されているといった都市伝説もかねてからある。 今回は、そんな風評被害に苦しみながらも都内でラブホテル(ビル型)を20年程経営する支配人男性(56歳)に取材を試みた。 このホテルでは、男性が支配人になった過去13年で数回、のぞき見と思われる問題が生じた。
50代男性が浴室の窓から中をのぞいていた

※画像はイメージです。以下同

50代男性が浴室の窓から中をのぞいていた

その1つは、ある日の深夜1時頃、1階の部屋の女性客からフロントに電話が入ったことではじまった。 女性は「風呂場の窓付近に人影が映っている」とうろたえて話す。支配人が急いで向かったところ、暗がりの中、50代後半ぐらいの男性が風呂場の窓から中をのぞくような姿勢でいる。「何をしているのか」と尋ねると、酔っているようで要領を得ない。 「上半身は服を着ていたが、ズボンとパンツを脱いだままだった。あんな暗闇で何をしていたのだろう。妄想に浸っていたのでしょうかね」 防犯カメラは警察の助言もあり、駐車場やホテルの出入り口、室内の階段やエレベーター、廊下など利用客が歩くところを中心に設置している。 支配人によると、全国のラブホテルの多くが防犯カメラを敷地内に設けているようだ。その映像は、スタッフがバックオフィスで利用客の安全を守るために常時、録画し、確認している。 近くで犯罪が起きた時には、警察官がその映像を見せてほしいと依頼してくる場合がある。容疑者がホテルに来たかどうかを確かめるためだ。 「のぞき見が起きた時点で1階の風呂場の窓付近には、防犯カメラを設けていなかったのです。しかも、ホテルの周囲はビルや家が少なく、ホテルの駐車場には明かりがあまり入らない。のぞき見が起きた付近は私たちからすると死角でした。女性のお客さんは服を脱ぐ前の段階で気がついたようです。数センチ程、窓を開けていたみたいでした」

1階のお風呂の窓は防犯の盲点

警察に通報するとパトカーが現れ、警官が男性に質問をするが、答えない。警官は署に連行した。 被害を受けたと思われる女性と男性の客は被害届を警察に届けなかった。支配人は、「お客さんに申し訳ない思いで一杯でした」と語る。 男性が勤務する職場の連絡先を知ったのでその責任者に再発防止のために伝えておこうと電話を入れ、事情を説明した。 数日後に責任者が現れ、謝罪をした。男性は長年勤務するベテランで、勤勉だったようだ。支配人は、それ以上は責めなかった。 ところが、男性が再び来た。駐車場を歩く姿が防犯カメラに映ったので、厳しく言ったが、酔っているようで会話にならない。支配人は、翌日に職場の責任者に連絡した。その時点ですでに退職をしているようだった。 「本当はこんなことをしたくないのですが、お客様の安全を守るためには止むを得ないのです。ここのお風呂はビジネスホテルのものよりもはるかに大きく、キレイにしています。それだけに、腹が立ちました」 その後、1階の風呂場付近に防犯カメラを新たに設置したり、暗いところに照明やライトをつけた。防犯カメラでの確認は、一段と念入りにしている。のぞき見をしていた男性はもう来ない。 「うちだけでなく、ほかのラブホテルでも1階のお風呂の窓は開けないほうがいいかもしれませんね。のぞき見をする人がいるかもしれませんから。そこは、防犯上の盲点となっているケースがあると思います」
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近所に住む男性の怪しい行動
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ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
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