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函館のラブホテル社長に聞いた、“困った忘れ物”「洗面所に大量のうろこが」観光地ならではのケースも

100万円を超えるロレックスの時計を忘れた人も

忘れ物は金庫に入れて保管

忘れ物は金庫に入れて保管

工藤さんが「びびった」と振り返るのが、100万円は軽く超えるロレックスの時計。触るのも怖いくらいで、タオルに包み、金庫に入れた。数日後に、40代前後の男性が「時計を忘れました」とフロントに現れた。とてもまじめそうに見えたそうだ。 高級な忘れ物で多いのはスマホだが、室内で音楽やコンテンツを再生するための備え付けのスマホを自分のスマホと間違って持ち帰ってしまう人もいる。 「数時間以内に、勘違いしましたと来られます。その方には、室内に忘れていたご自身のスマホをお渡しします」 女性が書いたラブレターも印象に残っているそうだ。お客さんである女性が、一緒に部屋に入った男性に渡すために書いたものらしい。 ホテルのスタッフは忘れ物の封筒や鞄を開けることはしないが、このラブレターは紙がそのままの状態で置いてあった。それで、工藤さんだけが数行に目を通した。引き取りに来る人はいなかった。

洗面所に“魚の忘れ物”がありうろこが散乱

室内の清掃

室内を清掃するスタッフ

指輪、イアリング、ネックレス、ピアスといった装飾品も忘れ物の定番だ。指輪はほとんどが男性のもので、本人がすぐに取りに来る。ネックレスは取りに来るケースが大半だが、ピアスは来ない人が圧倒的に多い。 「忘れ物をしたと気がついても事情があり、ホテルには行けないと電話をしてくる方もいます。その場合は、お教えいただく住所に郵送するケースがあります。 送り主は私の個人名義か、会社名(有限会社工藤観光)。お客さんの希望で選んでもらっています。会社名が多いかな。遠いのは、九州まで郵送したことがあります」 洗面所に魚の忘れ物もあった。うろこが大量に落ちていた。 「包丁でさばいたのかな。魚を外で買ってきたのでしょうかね。1枚3000円くらいの肉を4~5枚、冷蔵庫に置き忘れた方もいました。 今晩食べようとしていたのかもしれないから、余計なお世話かもしれませんが、心配になります。数時間後に取りに来たので、安心しました」 とても困る忘れ物は、お風呂の排水溝にたまるほどの量の髪の毛。男性のものらしい。ラブホテルで髪を切る人がいるようだ。 髪を染める道具や液が浴室に飛び散り、洗面所や壁についている場合がある。「髪の毛や液は捨てたのかもしれませんが、後処理が大変なので勘弁してほしいですね」
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コスプレ衣装を持ち帰ってしまう人も
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ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
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