「“ギャル男”を広めることは社会貢献」SNSで話題のギャル男がSNSで発信する意外なワケ
HIDEOMIさんの声かけで目覚める人も
3人は令和の時代にギャル男ブームを巻き起こすべく、日頃から作戦を練っている。この日の取材の前日にも3時間も電話していたとか。
「次はこういう撮影したいよねとか、ここでこういうの撮りたいよねとか、共有しまくってます。3人とも超うるさいし、アホそうなのにめっちゃ賢いんですよ」
DJイベントも定期的に開催している。平成ソングが大音量で流れる中で、バーベキューとパラパラを楽しむというもの。HIDEOMIさんは楽しそうにこう語る。
「音楽をかけて踊るだけだとよくあるけど、そこにバーベキューを足したら新しいんじゃねってなって。はじめはビルの屋上を借りてやりました。でもそれだと苦情はくるわ、雨が降ったら中止だわで、大変すぎて。新宿に室内でやれそうなところがあるみたいなんで、今年からはそこでやることにしました。俺たち成長したなあって思います(笑)」
チャラそうな男性たちをギャル男の世界へ誘ってみることもある。彼らになぜギャル男にならないのかと聞くと、「ヘアセットの仕方がわからないから」と返ってくることが多いという。
ならば自分がヘアメイクをやればいいと、最近ではHIDEOMIさんが彼らにヘアメイクを施し、みんなで渋谷に出かけることも。それを機にギャル男に目覚める人もいるらしい。
そこでこんなイベントも考えているようだ。
「男はヘアメイクの仕方がわからない人が多いんです。だから次のイベントでは、椅子とVO5(ヘアスプレー)とアイロンを持って行こうと思ってます。男子の髪の毛をがっしゃがしゃやろうと思って(笑)。超ストレートヘアだった子が、会場から出てくると超盛り髪みたいな。それでそこでかかってるBGMが全部平成なんですよ!?そんな最高な空間、令和にないだろって」
ギャル男スタイルは無敵になれる
にしても、“平成”や“ギャル男”を広めたいというその熱意はどこからくるのだろうか。筆者が不思議に思っていると、HIDEOMIさんはこう続けた。
「ギャルやギャル男を広めることは、社会貢献なんですよ。最近はぴえんの子とかいるじゃないですか。私は死ぬんだみたいな。ってことは、もうすでにどん底なわけじゃないですか。そこから下に行ってどうするのって思うんですよ。だったらみんなで楽しいと思えるものを作ろうよって。みんなを明るくできるところにギャル男の魅力ってあると思います。俺もギャル男になってからいい意味で性格変わりましたから。だから俺たちが広めていければ、人の温かさが戻ってくるんじゃないかなって思います」
実際にLANDORAの活動によって、自信を持ち始めている人もいるようだ。
「この間の撮影でみんなに『COCOLULU』を着せたんですよ。そしたらその中のひとりが『やばい、今日渋谷がきれいに見える』って言うんです(笑)。この街の中で自分が一番目立ってる、自分が輝いてるから景色がきれいに見えるって。ギャルやギャル男の格好をやってると無敵になれるんですよね」
そう話すHIDEOMIさんの目はキラキラしていた。そして、ギャル男文化復興への意気込みをこう語る。
「敵がいればもう越すだけなので。上にいる人間に追いつこうじゃなくて、抜かすしかない。立ち止まればどんどん下に行っちゃう。だから走れるときに走ろうってみんなで駆け上がってますよ。俺もmisakiさんもkosukeさんも負けず嫌いなんで。そしたらもう誰かしら壊れるまでは止まれません」
LANDORAの勢いはとどまることを知らない。一時期は絶滅危惧種とまで言われていたギャル男だが、再び渋谷にあの平成ファッションが溢れかえるときがくるかもしれない。HIDEOMIさんの話を聞いていると、その波が近づいているような気がした。
<取材・文/奈都樹、撮影/長谷英史>
―[“ギャル”のその後]―
1994年生まれ。リアルサウンド編集部に所属後、現在はフリーライターに。『リアルサウンド』『日刊サイゾー』などで執筆。またnoteでは、クォーターライフクライシスの渦中にいる20代の声を集めたインタビューサイト『小さな生活の声』を運営している。 1
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