【革命前夜のトリスタたち】 津田大介×上杉隆
津田大介(メディア・アクティビスト)×上杉隆(ハイパー・メディア・アクティビスト)
※この続きは週刊SPA!7月10日発売号 上杉隆の「革命前夜のトリスタたち」VOL.009に掲載
「こんな不謹慎な金髪を呼んで頂いて、ありがとうございます」――。
6月19日の参議議院文教委員会、国会という厳粛な場にはとても似つかわしくない「金髪の参考人」はこう挨拶した後、違法ダウンロードの刑事罰化を鋭く指摘した。
「メディア・アクティビスト」として国会や政策の審議会で積極的に発言する一方、ジャーナリストとして被災地の最前線を取材する津田大介――。活動のフィールドは多岐に渡るが、あくまで「主戦場はツイッター」と言い続けている。違法ダウンロード刑事罰化の法案は翌20日に可決されたが、法案の修正案を提案しながら「答弁拒否」という“暴挙”に出た議員を名指しし、「池坊衆院議員の名をきちんと覚えておきましょう」とツイートした。
今でこそ22万超のフォロワーを擁する津田だが、意外にも当初はツイッターにさほど面白味を感じなかったという。
「2007年の4月13日に始めたんですが、17日には『仕事をはかどらせなくするツールナンバーワン』とこき下ろし、25日には『いずれ飽きる』とまでツイートしてる(笑)。でも、リアルタイムで反応が返ってくるのが楽しくて、こういうことか!って面白味に気づいた」
一般的なツイッターユーザーと津田の違いはこの後の行動にある。もともとIT系ライターだった彼は、著作権関係の審議会で当事者として、政策決定のプロセスをツイッターで“実況中継”し始めたのだ。
「当時、僕は文化審議会のメンバーでしたが、結構重要な話が行われているのに、メディアが取材にこない……。審議会の1回目とかは取材があるのに、肝心なときにいないわけです。確かに議事録は公開されるけど、できあがるのは1か月も先で、その頃には大勢は決している。手遅れなんです……。どうしよう?って考えてたとき、僕はネットで調べて議論するために、会議にPCを持ち込んでた。『ツイッター禁止』とは言われてないし(笑)、メディアが報じないなら、ツイッターで“テキスト中継”しようと思った。大事なことが決まりかけてるそのとき、とにかく騒いでもらって、知ってもらうことが重要なんですよ」
以降、津田は会議やシンポジウムに出向き“テキスト中継”を行うようになるが、精力的な活動を支えたのは、「政治の可視化」という目的だけでもなかったらしい。
「僕、ライターのくせに原稿を書くのが大嫌いなんですよ(苦笑)。普通、ライターの仕事は取材後に原稿執筆という大仕事が待ってるけど、“テキスト中継”は会議が終われば僕の仕事も終わる。これは素晴らしい!(笑)」
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