反「反日デモ」を訴えた中国人たちの声【後編】
焼き打ち、略奪、破壊行為……。日本政府による尖閣国有化を受け、中国全土に広がった“反日暴動”は、日本人の心に深い傷を負わせたことだろう。中国憎しの反中感情をたぎらせている人も多いかもしれない。だが、発売中の週刊SPA!10/2号でも報じたが、反日暴動は一部の中国人の所業に過ぎないと断言しておこう。むしろ、体を張って反日暴動を阻止しようとした中国人が数多くいたことを知ってもらいたい。
⇒【前編】はこちら https://nikkan-spa.jp/301648
爆風スランプのドラマーで中国でも音楽プロデューサーとして活躍してきたFunky末吉氏は、微博で中国人にののしられたとツイート。すると、天堂楽隊という中国のロックバンドから「安心しろ、俺たちも含めてあんたに助けられたことのあるミュージシャンはみんなあんたを指示する。気にすんな! あんなバカどもは懲らしめてやる!」と励ましのコメントが届いたという。
さらに、痛仰楽隊というバンドは「無知にホルモンを発散するな」と比喩的表現で反日デモに反対を表明。青島出身の有力微博ユーザーである「作業本」氏(フォロワーは300万人以上)は「人生で初めて青島人として恥ずかしいと思った」と、青島の反日暴動を批判した(件のツイートはなぜか削除された)。が、もっと過激な発言を行い、物議をかもした有名人もいた。
「俺の第一の恩人は日本人だ。日本人の彼女がいたこともあるし、日本人の友達もいる。日本料理が好きだし、日本に公演に行ったことがあり、日本が大好きだ。彼らの礼節、秩序を保つところ、比類なき職業規範と敬礼な態度は俺を恥じ入らせ、ショックを与えた。また、日本人の豊富な想像力、創造力による前衛的なファッションなども好きだ。こんな俺を愛国がどうだとか関係あるっていうなら、クソッタレどもかかってこい!」
北京で人気の中国人ドラマー・劉為氏はこのような過激なツイートをして炎上騒ぎまで起こしたのだ。表現の仕方はさまざまだが、「反・反日デモ」を訴える中国人の声は着実に広間っていたことがわかるはずだ。
自らも「反・反日デモ」を呼びかけた上海在住の李浩さん(35歳)はこう話す。
「『反日デモに参加する人は、私のフォローを解除してください』と微博でつぶやいたら、『参加するほうがバカ』と賛同してくれる人ばかりでした。体感値では、私の周りの8割近い中国人は“反日暴動”に反対しています。日本製品不買運動も広がっていると言われていますが、おそらくこれに賛同しているのも一部の中国人だけです。私たちの生活は、もはや日本なしでは成り立たなくなっているんですから」
微博上では反日暴動を主導したリーダー格の人物に公安幹部がいたこと(この人物の個人情報を晒した微博ユーザーのアカウントは抹消された)、一部のデモ隊が同じバスに乗り込んで軍服に着替えていたことなどが繰り返したリツイートされている。最も暴徒化しやすい南京で一切反日デモが起こらなかったことを疑問視する声も高まっている。理性的に今回の反日デモを分析する動きも広まっているのだ。日本も反日デモに振り回されてはならない。理性的な中国人の声に耳を傾けるべきだろう。
取材・文/奥窪優木 池垣完(本誌) 写真/新浪微博より
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