雑学

政治家の資質がない人がなぜ大量当選するのか

◆「タダの人」以下(?)に成り下がった落選議員の今昔

「今回、落選した議員のなかには、そもそも政治家としての資質があったかどうか疑わしい人も多い」と政治評論家の有馬晴海氏は嘆く。

イメージ「先日の衆院選後、民主党で落選者を集めての懇談会が行われ、その場で、今後の生活や活動資金への不安を落選者が党幹部に訴えました。『早く次期衆院選の公認候補に決定してくれないと困る』と7月の参院選の手伝いを引き換えに党からの支援を迫っていました。そこに政治家としての理念や哲学は感じられませんよね」

「神風」によって当選し、その後落選した人たちは国会議員をカネを稼ぐ職業とでも考えているのか。

「1期務めたくらいで国に貢献したとでも思っているのでしょうか。そんなこともわからずに、さもしい発言をすること自体ただの数合わせ要員だったことの証左になる」

 大勝に伴い、大量に誕生した1年生議員はむしろラッキーだ。

「一方で『公認』があれば、所属や選挙区を替えながら立候補する候補も増えました。今回、日本維新の会から出馬した宇佐美登氏などは、新党さきがけから衆院選→民主党から衆院選→無所属で大田区長選→平沼グループで衆院選と渡り歩き、今回も落選しています」

 選挙は一生を懸けた大博打。それだけの覚悟がある人が当選するのは、有権者も案外ちゃんと見ているのではないか。一方、政界から消えていった元議員は?

「杉村太蔵氏のように、タレントになれるのは稀。ほかに元民主党の山村健氏のように1期で出馬を断念して『まち起こしプロデューサー』としてイベントコンサルという違う道で頑張っている人もいます。学歴詐称問題で議員辞職した元民主党の古賀潤一郎氏はその後ダーツバーを経営していたようですが、連絡を取ろうとしても無理でした。政治とは無関係で生きていく選択をしたのでしょう。自民党では、経費の不正計上などを指摘された『ばんそうこう』大臣の赤城徳彦・元農水相も今どうしているのか情報はまったく入ってきません。まあ、江戸時代から続く名家の生まれですから、生活はどうにかなるんでしょうが」

 そうした議員を誕生させてしまう現在の選挙制度にこそ問題が。

「小選挙区制では、政権与党への批判が『風』となって選挙を支配する傾向がある。中選挙区制に戻し、さらに複数候補者に投票できる連記性にすれば、死に票も少なくある程度民意が反映された候補者が選出されやすくなる。政党より政治家の資質で選ぶから、政治家も努力のしようもある」

【有馬晴海氏】
’58年、長崎県生まれ。政治評論家として、政治家の懐に飛び込むなど永田町の情報収集力に定評がある。政治研究会「隗始塾」を主宰するなど、政策研究にも積極的に取り組む

取材・文/松浦達也(馬場企画) 古澤誠一郎 田幸和歌子 安田はつね(本誌) 撮影/渡辺秀之 高仲建次
― 「タダの人」になった元国会議員のその後【9】 ―

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