3分でわかる「素人ネットレビュー」の歴史
いいモノを求め、あるいは“ハズレ”を引かないため、参考になるのがネットのレビュー。が、誰もが“発信”できるゆえ、読むに値する情報の選別は大変!? そこで各界のプロもチェックする熱量高い素人レビューを紹介。レビュー事情は業界の鏡でもあった!?
◆ネットの素人レビューの歴史とこれから
素人がネットにレビューを書けるようになったのは’90年代半ば頃からだという。そんなレビューの歴史を『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』著者のばるぼら氏に聞いた。
「ネットのレビューの大きな流れをつくったのはパソコン通信などから流れてきたオタク層。’97年頃、岡田斗司夫さんのサイトでABCさん(阿部広樹氏)が始めたクソゲー批評は、商業媒体にはなかった新タイプのレビューだったと思います。また、当時ブームだった『新世紀エヴァンゲリオン』の製作元のガイナックスが、申請があれば画像の二次使用を許可したことなどもあり、アニメ系の人から画像を載せてマニアックな話題を語る文化が広がったんです」
’90年代末には人気サイトを探すランキングサービスなども登場、レビューというよりはネタを競うサイトが流行。そして、’03~’05年にかけてブログがブームに。
「もともとネットと親しんでいた人ははてなブログに移行、さらに手軽さからライブドアブログやアメブロへ新たな層が入ってきます。自己顕示欲を満たすことと並び、お金というレビューを書くモチベーションにもなるシステムも確立。アフィリエイト目的でCDや本を紹介するブログが急増しました」
しかし、ブログブームは長くは続かず。ここまで多くのプロが証言するようにミクシィからツイッターとSNSの勢いにも押されブログレビューは勢いを失っている。
「ツイッターなどは長文を書く必要がなく、手早く人気を集めて自己顕示欲も満たしやすいですから。ただ、最近は一部でブログのアクセスも戻り始めています。レビュアー側にお金が入る新たなシステムが生まれれば、ブログのレビューもまた活気づくかもしれません」
ネットレビューの興隆は業界の状況と同時に、メディアの流行に左右される。果たして、次は?
【ばるぼら氏】
ネットワーカー、周辺文化研究家。著書に『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』『岡崎京子の研究』など
取材・文/加藤カジカ 田山奈津子 古澤誠一郎 港乃ヨーコ 鈴木靖子(本誌)
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『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』 あなたの「インターネットが一番楽しかった頃」はいつですか? |
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