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藤沢数希氏「アベノミクスで日本人は貧乏に」

’13年の日経平均は56.7%と41年ぶりの高い上昇率となった。一方、円は対ドルで34年ぶりの下落率となったため円資産は目減りし、世界の中で見ると日本人は貧乏になったという ◆アベノミクスで日本人は世界の中で貧乏に。1人当たりのGDPはイタリアといい勝負 (人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏) 藤沢数希氏 ’12年11月14日、低迷を続けた民主党の野田首相が衆議院を解散することを表明。翌15日、自民党の安倍総裁が、政府・日銀が2~3%のインフレ目標を掲げ、無制限の金融緩和を実行していくと宣言した。こうしてアベノミクスが始まった。’11年12月末に8455円35銭だった日経平均株価は、’12年の大納会では1万395円18銭、’13年の大納会では1万6291円31銭、取引最終日に年初来高値を2年連続で更新した。’13年の年間上昇率は56.7%となり、高度経済成長末期の1972年以来41年ぶりの記録となった。こうした株価上昇の最大要因は、間違いなく大幅な円安である。  ドル/円相場は’11年末に約78円だったものが、’12年末には約87円に、’13年末には約105円となった。ユーロは’11年末に約100円、’12年末に約114円、’13年末には約145円となった。  日本の財界では輸出産業が力を持っているため、円安はマスコミではいいことであると報じられることが多い。また、円安になれば、ドルで見た株価はそれほど上がっていなくても、円で我々日本人が目にする株価は大きく上昇しているように見える。よって、日本では円安になると、景気がよくなったと感じやすい。  しかし、当然だが円安はいいことばかりではない。まず、日本はエネルギーや食料品などさまざまな資源を輸入に頼っており、これらのコストが上昇する。輸入産業は不利になる。そして何より、円が安くなるということは、世界の中で見た日本人が貧乏になっているということにほかならないのだ。 ⇒【後編】「一人当たりGDPはイタリア程度に落ちぶれる」に続く
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【藤沢数希氏】 欧米の研究機関にて博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。ブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは8万人を超える。最新刊『外資系金融の終わり』が発売中
物理学研究者、投資銀行クオンツ・トレーダー職等を経て、作家・投資家。香港在住。著書に『外資系金融の終わり』『僕は愛を証明しようと思う』『コスパで考える学歴攻略法』などがある
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